第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「君は名前がよく知られているけれど、それ以外も目を惹かれる理由があるんだよ。君はとても綺麗だからね。黒髪は黒曜石のように綺麗だし、瞳はルビーみたいだからつい見てしまう存在なんだよ」
にっこりと微笑む彼はさらりとそんな言葉を言う。
さらりと口説くような言葉に驚いた私は、目を見開かせながらも頬が徐々に熱くなるのを感じた。
ビルが似たようなことを言ってくれたけれど、兄的存在の人から言われたことだから少し照れるぐらいだった。
でも今は知らない人に言われて照れるどころか恥ずかしくてたまらない。
「そういえば、自己紹介していなかったね。僕はセドリック・ディゴリー。ハッフルパフの寮生だよ。まあ、ハッフルパフなのはローブを見ればわかるよね。宜しく、アリアネ」
「よろしく·····セドリック」
手を差し出されて、その大きな手を掴むと握手をされた。
「でもよく見ると本当に綺麗だよね、君」
「恥ずかしいからやめてちょうだい·····」
「顔が赤くなっている。君の瞳と一緒だね。実はね、僕は昔から君のことを一方的だけど知っていたんだよ」
「そうなの?」
「僕の父親がね、君のお父さんと知り合いだったんだよ。父が魔法省魔法生物規則管理部の人間で、君のお父さんは闇祓いだったろう?部は違うけれど、たまに話していたらしいんだ。そこで君のことを話で聞いたことがあったんだよ。とても可愛らしいお嬢さんなんだって」
「そうだったのね·····。これも何かの縁だし、これからどうぞよろしくね。セドリック」
「もちろんさ」
最初はムッとしたけれども、優しい人だとすぐにわかった。
どこかビルと似ている気がすると思っていた時である。
「うちのお姫様に何かご用かい?ハッフルパフの王子様のセドリック・ディゴリー」
肩に誰かの腕が回り、そのまま引き寄せられて後ろに下がった。
驚いた私は、慌てて視線を上に上げればそこにはフレッドがいて不機嫌そうに顔を歪ませている。
「君は·····確か、グリフィンドールのウィーズリー兄弟だよね。双子の。よくハッフルパフでも話があがっているよ。面白い双子だって」
「それはどうも」
珍しく不機嫌そうなフレッドに驚いていれば、彼は私の耳元で小さく呟いた。
「浮気か?アリアネ」
「な、何言ってるのよ·····!?」
「顔が真っ赤だ。図星なんだな?」