第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
アーサーおじさんはいつもより低い声で、ルシウス・マルフォイにそう言う。
するとルシウス・マルフォイは薄笑いを浮かべながらも、ハーマイオニーのご両親へと目を向ける。
「彼は私の幼なじみだったからねぇ。ああ、ウィーズリー。こんな連中とつきあっているようでは·····君の家族はもう落ちるところまで落ちたと思っていたんですがねぇ」
その時、ジニーの大鍋が宙を飛んで金属が落ちる音が響いた。
なんとアーサーおじさんがルシウス・マルフォイに飛びかかっていて、その背中を本棚に叩きつけていたのである。
ドサッと分厚い呪文の本が何十冊という数で、私たちの頭を落ちてくる。
「「やっつけろ、パパ!」」
フレッドとジョージの声が響く。
「アーサー、だめ、やめて!」
モリーおばさんが止めようと声を張り上げ、周りの人垣が後退りをしていく。
様子を見ていた店員が2人を止めようと叫んでいる。
「お客様、どうかおやめを、どうか!」
その時、店員の声より大きな声が聞こえた。
「やめんかい、おっさんたち、やめんかい」
ハグリッドが本の山をかきわけながらやってきて、あっという間にアーサーおじさんとルシウス・マルフォイを引き離した。
アーサーおじさんは唇が切れていて、ルシウス・マルフォイは本でぶたれた痕が目にできている。
ルシウス・マルフォイはまだ手に持っていたジニーの本を、彼女へと突き出した。
「ほら、チビ、君の本だ。君の父親にしてみればこれが精一杯だろう」
「いいからさっさと消えなさいよ!この陰湿親子!!」
最後の言葉に苛立ち、私はルシウス・マルフォイの足を思いっきり蹴り飛ばし、近くにいたドラコ・マルフォイの背中も蹴り飛ばした。
「こら!やめんかアリアネ!お前さんは本当に喧嘩っ早い·····」
「ハグリッド!だってあの親子最低なのよ!」
「それはわかっとる。アーサーも、あいつの事はほっとんかんかい。骨の髄まで腐っとる。家族全員がそうだ。みんな知っちょる。マルフォイ家の奴らの言うこたぁ、聞く価値がねえ。そろって根性曲がりだ。そうなんだ。ウィリアスがあいつと幼なじみなのが謎だったよ。さあ、みんな、さっさと出んかい」
私たちは直ぐに書店から出ると急いで歩き出した。
ハーマイオニーのご両親は恐ろしさに震えていて、なんだか申し訳なくなる。