第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
振り返ればマルフォイそっくりな薄ら笑いを浮かべた、ルシウス・マルフォイが立っていた。
「ルシウス」
「お役所はお忙しいらしいですな。あれだけ何回も抜き打ち調査を·····残業代は当然払ってもらっているのでしょうな?」
ルシウス・マルフォイはジニーの大鍋に手を突っ込むと、豪華なロックハートの本に紛れていた使い古した本を一冊取り出す。
「どうもそうではないらしい。なんと、役所が満足に給料も支払わないのでは、わざわざ魔法使いの面汚しになる甲斐がないようですねぇ?」
「マルフォイ、魔法使いの面汚しがどういう意味なのかについて、私たちは意見が違うようだが」
「さようですな。おお、これはなんと·····フリート嬢がいらっしゃるではないか」
ルシウス・マルフォイは最初から私から気づいていただろうに、わざとらしく今気づいたかのような表情を浮かべていた。
そして私の目の前に立つと、隣に立っていたハーマイオニーとロンに視線を向ける。
腹が立つ。
薄ら笑いしているその表情も、アーサーおじさんを貶したりウィーズリー家を貶すこの男が。
凄く腹立たしいと思っていれば、ルシウス・マルフォイは腰を屈めると私の耳元で、皆に聞こえるように呟いた。
「マグルとつるんでいると、フリート家の名が穢れてしまいますぞ、フリート嬢。お亡くなりになった、お父上が悲しまれるだろう」
「その父親を殺したのは、貴方がかつて従っていた人ですけどね。どの口がそれを言われるのか·····相当神経が図太いのか、腐りきっているようですね。ルシウス・マルフォイ。おかげで息子は腐りきった子供になっていますよ」
「·····その減らず口、ウィリアスそっくりだ」
「ありがとうございます。父と似ていることに誇りを持っていますから」
「可愛げのないところも、ウィリアスそっくりだ」
「そろそろ、父の名前を親しげに呼ばないでいただけますか。私は貴方の首を折ってやりたいぐらいに、腹ただしいのですから」
よくも父さんの名前を親しげに呼べる。
父さんと交流があり、幼なじみだったはずなのにと私は唇を噛み締めてルシウス・マルフォイを睨みつけた。
「辞めなさい、アリアネ」
すると、アーサーおじさんが私の目の前に立ちモリーおばさんが私を抱きしめていた。
「ルシウス。この子の前でよくウィリアスの名前が呼べたものだ」