第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
すると、ギルデロイ・ロックハートは勢いよく立ち上がると叫んだのだ。
「もしや、ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートでは?」
興奮したような言葉に、人垣が突然割れて道を作る。
するとギルデロイ・ロックハートは列に飛び込んでから私とハリーの腕を掴んだ。
「ちょ、なんですか!?」
私は腕を振るけれど離される感じはなくて、そのままハリーと共に表面へと引き出されてしまった。
すると人垣は何故かいっせいに拍手をしはじめて、私もハリーはぽかーんとする。
ギルデロイ・ロックハートは私とハリーと交互に握手するポーズをしてカメラで撮らせていた。
その後は私とハリーを両脇に立たせてから写真を撮らせる。
「ハリー、アリアネ。にっこり笑って!一緒に映れば、君たちとわたしとで一面大見出し記事ですよ」
それが目的なのかと私はうげぇという表情になる。
「あの、そろそろ離してください」
一面大見出しの記事だなんて最悪である。
私とハリーはこっそりとウィーズリー家に戻ろうとしたけれど、ロックハートは私とハリーの肩に腕を回して自分の傍に引き寄せていた。
「あの、離してもらえませんか·····!?」
驚いた私は離してほしいと言うけれど、ロックハートはそれを完全無視。
白い歯を見せながら人垣へと笑いかけているだけ。
「みなさん。なんと記念すべき瞬間でしょう!私がここしばらく伏せていたことを発表するのに、これほど相応しい瞬間はまたとありますまい!」
「あの、離して·····」
「ハリー君とアリアネ嬢が、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に本日足を踏みれいた時、この若者たちは私の自伝を買うことだけを欲していたわけであります。それをいま、喜んで彼たちにプレゼントいたします。無料で」
「いや、別に要らないんですけど·····」
「この彼らが思いもつかなかったことではありますが、まとなく彼と彼女は、私の本『私はマジックだ』ばかりではなく、もっともっとよいものを貰えるでしょう。彼と彼女もほのクラスメイトも実は『私はマジック』の実物を手にすることになるのです」
私がどんなに離れようとしても、ロックハートは私を引き寄せて離さない。
それどころか訳分からない演説を始めているので、私とハリーは困り果てていた。