第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「本物の彼に会えるわ!」
すると、隣にいたハーマイオニーが突然黄色い声をあげたので私は目を見開かせた。
「だって、彼って、リストにある教科書わほとんど全部書いているじゃない!」
「ハーマイオニーも、ギルデロイ・ロックハートが好きなのね·····」
人だかりはほとんど、モリーおばさんと同じ歳ぐらいの魔女の人たち。
ドアには書店の人なのか、魔法使いが困惑した顔をしながら人だかりへと言葉をかけていた。
「奥様方、静かにお願いします·····押さないでください·····本にお気をつけ願います·····」
私たちは人混みをかき分けながらも書店に入り、リストに書いてあった本を探していた。
よく見れば書店の奥でギルデロイ・ロックハートがサインをしているのが見える。
ナルシストみたいな顔。
私はそう思いながらも、興味がないのでとりあえずリストにある本を探して手に取っていく。
そして、ウィーズリー一家とグレンジャー夫妻が並んでいるところに、こっそりと割り込ませてもらった。
「モリーおばさん、さっきぶりね」
「まあ、よかった。来たのね」
「見ろよ、ママを。さっきから何回も髪の毛を触ったりしているんだよ」
モリーおばさんをよく見れば、彼女は息をはずませながら何度も髪を撫でている。
「もうすぐ彼に会えるわ」
これ、アーサーおじさんが見たらどうなるんだろう。
そう思いながらも、私はため息を吐いてからこの長い行列がいつ終わるんだろうと考えた。
しばらく待っていれば、ギルデロイ・ロックハートの姿が見えはじめた。
座っている周りには、自身の写真が貼られているし人垣に向かって写真がウィンクしている。
(うーん。やっぱり、私の名付け親の方がハンサムね。あの人のどこがいいのかしら。確かに本の内容はいいかもしれないけれど)
ふと、気の短そうな男がギルデロイ・ロックハートの周りを踊るようにしているのに気づいた。
大きな黒いカメラでギルデロイ・ロックハートの写真を何回も撮っている。
「そこ、どいて。日刊預言者新聞の写真だから」
「それがどうしたってんだ」
ロンは足を踏まれたらしく、足をさすりながら言っていた。
そんなロンに『可哀想に』と呟いていると、ギルデロイ・ロックハートが顔を上げているのに気がつく。
彼はロンを見てから次は私とハリーへと視線を向ける。