第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
私は急いで走ってからハリーの元に駆け寄る。
するとハリーは少しだけ目を見開かせていて、驚いた顔をしていた。
「良かった、ハリー。見つけられて」
「アリアネ、それにウィーズリーおじさん·····」
「ハリー。せいぜい1つ向こうの火格子まで行きすぎたくらいであればと願っていたよ。モリーは半狂乱だったよ。いまこっちへ来るがね」
アーサーおじさんは汗を拭いながら、モリーおばさんへと手を振っていた。
「どっから出たんだい?」
「夜の闇横丁(ノクターンよこちょう)」
「夜の闇横丁に出たの!?」
「「すっげぇ!」」
「僕たち、そこに行くのを許してもらったことないよ」
「そりゃぁ、そのほうがずーっとええ」
ハグリッドはそう言い、私も頷いた。
夜の闇横丁は変なのがうろうろしているし、あまり行くべきじゃない場所だ。
するとハーマイオニーが不思議そうな顔をして、私の腕を掴んでくる。
「アリアネ、夜の闇横丁って?」
「強力で残忍な魔法物品を専門に取り扱う場所よ。闇の魔術に関するものも売っていたりするの。行くべじゃない場所よ、ハーマイオニー」
「·····それは、行くべきじゃないわね」
暫くすると、モリーおばさんが飛び跳ねるようにしながらこちらへと走ってきた。
ジニーの手を繋ぎながら走っていて、息を切らせながらハリーを見る。
「あぁ、ハリー、おぉ、ハリー。とんでもない所に行ったんじゃないかと思うと·····」
おばさんはハンドバッグからはたきを取り出すと、ハリーに着いている煤を払っていた。
アーサーおじさんは、ハリーの壊れているメガネを取ると呪文を唱えてから治す。
「さあ、もう行かにゃならん」
「ハグリッド、もう行くの?」
「ああ。みんな、ホグワーツで、またな!」
そうして、ハグリッドは大きな身体を揺らしながら人の波へと消えていった。
ハグリッドを見送り、私たちはグリンゴッツの階段を上っていく。
「『ボージン・アンド・バークス』の店で誰に会ったと思う?」
ハリーが突然、そう訊ねてきた。
「誰がいたの?ハリー」
「マルフォイと父親なんだ」
「マルフォイと、ルシウス・マルフォイが·····?」
私はハリーが出した名前に眉を寄せていれば、後ろにいたアーサーおじさんが厳しい声でハリーに聞いた。
「ルシウス・マルフォイは、何か買ったのかね?」