第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
恋する女の子のジニーは凄く可愛らしい。
顔を真っ赤にさせたり、行動がドジになったりとしていて何時ものジニーじゃない。
「言わないでちょうだい、アリアネ。そういうアリアネはどうなの?好きな人いたじゃない」
ジトッと睨むジニーに私はピタリと動きを止めた。
好きな人と言われて、すぐにセブの顔を思い出してしまう。
私はセブが好きだった。
だけど、ハリーへの態度があってからどんどんその恋は冷めてしまった。
でも人としては嫌いとかではないし、薬草学のことは尊敬はしている。
「好きだったけど、恋心は冷めちゃった」
「え!?そうなの!?」
「だってその人、とある人に凄く冷たいし酷いことを言うのよ。理不尽なことを言ったりね」
「それは·····冷めるわね」
ジニーは落としたボールを広い、洗いながらウンウンと頷いていた。
「儚い恋心だったわね、アリアネ。でもまた好きな人はできるんじゃない?」
「そうかしら」
「ロンとかは?どう?」
「ロンは·····双子の弟みたいだもの」
「そうよね、ロンはまずないわね。じゃあ、フレッドは?フレッド、アリアネに好意寄せてるみたいな素振りをみせるじゃない」
私は、クッキー生地を練りながらフレッドを思い出す。
フレッドは確かに、私に好意を寄せているような素振りは何回も見せている。
だけどその後は『冗談』と言ったり『本気にした?』とからかってくるのだ。
好意を寄せられたいるのか、ただたんに悪い冗談を言って私をからかっているのか。
それが分かりにくくて、凄く困っている。
「分からないわ。だって、そういう素振りを見せたかと思えば『冗談』とか言うのよ?」
「うーん·····」
「フレッドは凄く分かりにくいわ」
「でも、もしフレッドがアリアネに好意を寄せたいたらどうするの?」
もし、フレッドが私に好意を寄せていたら。
そう聞かれた私は、生地を練っていた手を止めながら考えた。
「そうね·····私、ずっとフレッドのことは兄のように思っているから分からないわ。困るというか、どうすればいいか分からないわ」
「そう·····。フレッド、このままじゃ勝ち目はないわね」
「え?なにが?」
「なんでもないわアリアネ。今日は何のクッキーを焼くの?」
「ママレードといちごジャムのクッキーよ」