第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
するとモリーおばさんは凄く悲しそうに、でも何処か辛そうな表情を浮かべている。
アーサーおじさんの方を振り返れば、アーサーおじさんも同じような表情をしていた。
なんで、こんな表情をしているのだろう。
私は困惑しながらも、モリーおばさんを見上げていれば彼女は声を震わせながら話した。
「良いですね、アリアネ。その名前はお忘れなさい。絶対に忘れなさい」
「·····え?」
「アリアネ、忘れるんだ。その名前を覚えていても何も良いことはない。忘れる方が君の為なんだ」
2人に『なんで?』と聞きたかったけれど、聞けるような雰囲気じゃなかった。
「調べることもしないでちょうだい。その名前を、調べたり聞いたりするのは。貴方の為だから」
「·····分かったわ」
「そう、いい子ね、アリアネ。さあ、ロンたちが起きてくる前にご飯を作ってしまいましょう」
「うん·····」
本当は調べたい、凄く知りたいと思った。
でも今回は本当に調べたりしちゃいけないんだと、2人の様子から分かる。
なので私は忘れることにした·····でも、記憶の片隅にはどうしてもその名前がチラつくのだった。
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ハリーがウィーズリー家に来て1週間。
私たちは台所で朝食を食べていれば、アーサーおじさんが私とハリーとロンに全く同じような封筒を渡してきた。
黄色味がかった羊皮紙に、緑色のインクで私たちの名前が書かれている。
「ハリー、ダンブルドアは、君がここにいることをもうご存知だ。何ひとつ見逃さない方だよ、あの方は。ほら、おまえたち2人にも来てるぞ」
まだパジャマ姿の双子達がやって来て、アーサーおじさんから手紙を受け取っていた。
そしてみんなが手紙を読み始めると静かになる。
手紙の内容は入学案内と似た感じ。
9月1日に、キングズ・クロス駅の9と4分の3番線からホグワーツ特急に乗るように書いてある。
それと一緒に、新学期用の新しい教科書のリストも書いてあった。
2年生は次の本を準備すること。
基本呪文集(2学年用) ミランダ・ゴズホーク著
泣き妖怪バンシーとナウな休日 ギルデロイ・ロックハート著
グールお化けとクールな散策 ギルデロイ・ロックハート著
鬼婆とオツな休暇 ギルデロイ・ロックハート著
トロールととろい度 ギルデロイ・ロックハート著