第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
とある日の夜のこと。
私はとある夢を見たけど、それは悪夢じゃない優しい夢だった。
『シウリス。どうかこの子のこと守ってあげてくれないか?フリート家がこれからどうなるか分からない。だが、この子だけは守ってやりたい』
『ウィリアス。お前が守ってやるべきだ、アリアネはお前の娘だろう?』
『そうだ。そうだけど、フリート家がどんな予言をされたのか知っているだろう?この子には予言通りになんかになってほしくなんいだよ。リーマスと共に守ってくれ。頼む、シリウス』
『·····わかったよ。わかった、アリアネは守ってみせる。シリウス・ブラックの名に賭けて』
朝日の眩しさに意識が浮上した。
まだ少しだけ重たい瞼を上げながら、私は夢の中のことを思い出す。
珍しく優しいあの雰囲気の夢を覚えているのだ。
「····シリウス」
星の名前であるシリウス。
父さんの知り合いの名前なのだろうかと思いながら、私はゆっくりと起き上がった。
聞いた事のない名前だけれど、モリーおばさんたちなら知っているかもしれない。
そう思いながらネグリジェから紺色のデニム素材で造られたワンピースを着てから下へと降りた。
「あら、おはよう。アリアネ」
「相変わらずアリアネは早起きだな。おはよう」
「モリーおばさん、アーサーおじさん、おはよう」
台所では既にモリーおばさんとアーサーおじさんがいて、まだロンやハリーたちは起きてきてはいない。
丁度いいかも知れないと思った私は、モリーおばさんの隣に立ちながら聞いた。
「ねえ、おばさん、おじさん。聞きたいことがあるの」
「あら、どうしたのかしら?」
「なんでも聞いておくれ」
二人は優しい笑顔を浮かべながら、私の言葉を待っていてくれた。
「あのね、『シリウス・ブラック』って人って知っている?」
ガシャン·····とモリーおばさんの手からお皿が落ちて、アーサーおじさんの目が見開く。
驚いている2人に私はキョトンとさせながらも、戸惑っていればモリーおばさんが目を見開かせながら私の肩を掴む。
「アリアネ、その名前を何処で聞いたの」
少し低い声に、私は驚きながらも正直に話した。
「夢で、父さんと母さんの夢を見たの·····。その時に、父さんが『シウリス』って。ただの夢よ?でも、私の小さい頃の記憶なのかもしれないと思って·····」