第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「ちょっと狭いけど。君のマグルのとこの部屋みたいじゃないけど。それに、僕の部屋、屋根裏お化けの真下だし。あいつ、しょっちゅうパイプを叩いたり。呻いたりするんだ·····」
恥ずかしそうに呟くロンに、ハリーはにっこりと微笑んだ。
「僕、こんな素敵な家は生まれて初めてだ」
「あら、良かったわね。ロン」
ロンは少しだけ恥ずかしそうに耳を赤く染めていた。
するとハリーはおかしそうに笑いながらも、ロンの部屋を眺めている。
「ハリー、私の部屋を見る?」
「いいのかい?」
「いいわよ。見られて困るものなんて無いもの」
私はロンの部屋を出ると、直ぐに隣にある自分の部屋へと向かう。
部屋には『アリアネの部屋』と書かれたプレートがあり、それを揺らしながら扉を開ける。
私の部屋は至って普通。
白とピンクが混じりあっている部屋であり、白い壁紙に薄いピンクのベッドに白のカーペット。
「可愛らしい部屋だね」
「ありがとう」
「あ!これ、もしかしてハグリッドから貰った写真?」
サイドテーブルに置いてあった写真立てを見て、ハリーが表情を明るくさせる。
そこには私の父さんと母さんが微笑みながらこちらを見ている写真があった。
「1枚飾っているの」
「僕も飾ろうかな·····」
「ロン!ロニー坊や!どこにいるの?」
すると、私の部屋を物色していたロンがモリーおばさんに呼ばれた。
ロンは『嫌だけど、ちょっと言ってくる』と言いながら部屋を出ていく。
それを見てから、私はハリーに訊ねる。
「ねえ、ハリー。ドビーのこと、どう思う?」
「·····僕とアリアネにホグワーツに行くなって言ってたことだよね。フレッドとジョージたちは、僕とアリアネにわざと悪意を持ってそう言ってると思ってるみたいだけど、僕はそう思わないんだよね。でも、もしドビーの主人がマルフォイ家なら有り得るかも」
「私も、まったく同じことを思っていたわ。·····でも、もし本当にホグワーツに罠がしかけられているなら、誰がしたんだろうって気になって·····」
「マルフォイかな?」
「マルフォイが、ホグワーツに罠なんて仕掛けられるかしら?」
「·····どうだろう」
私たち二人はドビーのことを悩みながらも、夏休みを過ごしていった。
そして夏休みも数日過ごしていった、とある朝のことだ。