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シリウスに導かれ【ハリーポッター❈救済】

第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】


「まったくおめでたいよ。魔法を鼻先に突きつけられたって徹底的に無視しようとするんだから·····。しかし、我々の仲間が魔法をかけた物ときたら、まったく途方もない物が·····」
「たとえば車なんか?」

モリーおばさんの言葉に、アーサーおじさんがギクッと肩を跳ねさせた。
おばさんの手には長い火かき棒が握られていて、なんだかそれが長い刃物に見えてしまう。

「モリー、母さんや。く、くるまとは?」
「ええ、アーサー、そのくるまです」

私は苦笑いを浮かべながらも、生地にフィリングを敷き詰めてからオーブンの中へと入れた。
そして、昨日作っていたクッキーをお皿に並べながらハリーの元に行く。

「ハリー、クッキー食べる?昨日作ったものだけど」
「あ、食べる。ありがとう」
「アリアネ、僕たちにもくれ」
「どうぞ」

お皿を回しながらクッキーを1口齧りながら、モリーおばさんとアーサーおじさんの様子を眺める。

「ある魔法使いが、錆び付いたおんぼろ車を買って、奥さんには仕組みを調べるので分解するとかなんとか言って、実は呪文をかけて車が飛べるようにした、というお話がありますわ」

サクサクとクッキーを食べる音が響く中、アーサーおじさんは気まずそうにしている。

「ねえ、母さん。わかってもらえると思うが、それをやった人は法律の許す範囲でやっているんで。ただ、えー、その人はむしろ、えへん、奥さんに、なんだ、それ、ホントのことを·····」

しどろもどろと話すアーサーおじさんと、アーサーおじさんを睨むモリーおばさん。
本当にアーサーおじさんはモリーおばさんに弱ないなあと思いながら、ジャムクッキーを齧った。

「法律というのは知ってのとおり、抜け穴があって·····その車を飛ばすつもりがなければ、その車がたとえ飛ぶ能力を持っていたとしても、それだけでは·····」
「アーサー・ウィーズリー。あなたが法律を作った時に、しっかりと抜け穴を書き込んだんでしょう!」

モリーおばさんの声が、家中に響いた気がした。

「あなたが、納屋一杯のマグルのガラクタにいたずらしたいから、だかららそうしたんでしょう!申し上げますが、ハリーが今朝到着しましたよ。あなたが飛ばすおつもりがないと言った車でね!」
「ハリー?どのハリーだね?」

ぐるりとアーサーおじさんが辺りを見渡して、ハリーを目で捉えた。
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