第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
謝ってみたけれど、モリーおばさんの怒りは爆発してしまっていた。
「ベッドは空っぽ!メモも置いていない!車は消えてる。·····事故でも起こしたかもしれない·····心配で心配で気が狂いそうだった。·····わかってるの?·····こんなことは初めてだわ。·····お父さまがお帰りになったら覚悟なさい。ビルやチャーリーやパーシーは、こんな苦労はかけなかったのに·····」
「完璧・パーフェクト・パーシー」
「パーシーの爪のあかでも煎じて飲みなさい!」
黙っていれば良いもの、フレッドは相変わらずオチャラケるのでまたもやモリーおばさんの怒りが爆発してしまう。
私とロンは身体を小さくさせながら、モリーおばさんの説教を静かに聞いていた。
「貴方たち死んだかもしれないのよ。姿を見られたかもしれないのよ。お父さまが仕事を失うことになったかもしれないのよ」
暫くモリーおばさんの説教は続いた。
だけど、何とかこのお説教を終わらせたかったのだろう。
ロンとジョージが私の腕をツンツンと突いてから、口パクで『何とかして』と言った。
自慢では無いけれど、モリーおばさんは私には滅多に怒らない。
やっぱり赤の他人というのもあるのか、ロン達のようには怒られないこともある。
それがちょっと私には寂しく感じるけれど。
「モリーおばさん、ごめんなさい。私たち反省してます。でも、どうしてもハリーが心配で迎えに行きたくて·····」
目を少し伏せながら、そう呟くとモリーおばさんは仕方ないとため息を吐く。
「アリアネ、貴方がハリーを心配するのはよく分かるわ。貴方はずっとハリーと会いたがっていたし、やっぱり赤ちゃんの頃は一緒にいたものだから他人のようには思えないのでしょう。でもですよアリアネ、貴方に何かあれば私はウィリアスとヘレンに顔向けできないの」
モリーおばさんは私の頭を優しく撫でた。
「それに、あの人にも顔向けできない。だから無茶をするのは辞めなさい。良いですね、アリアネ」
「はい、モリーおばさん」
お説教が終わり、私がロン達の方を向けば『よくやった!』とグーサインをしてくる。
それにため息を吐いていれば、モリーおばさんはハリーの方に振り向いた。
ハリーはさっきのモリーおばさんが怖かったのか、少しだけ後退りをしていた。