第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「10分で着くな·····よかった。もう夜が明けてきたし·····」
東の地平線がほんのりとしたオレンジに染まっていた。
もうすぐ太陽が登って、モリーおばさんやジニーは起きてくるだろう。
その前に戻ることが出来ることに少しだけ安堵の息を吐いた。
フレッドはゆっくりと車の速度を下げていき、窓の外には畑や木立の茂みが見えるようになってきた。
もうすぐでウィーズリー家に到着する。
「僕らの家は、オッタリー・セント・キャッチボールっていう村から少し外れたところにあるんだ」
空飛ぶ車が高度を下げて地面に着く。
その時に軽く地面の上を跳ねたけれだど、安全に着陸出来たことにホッとした。
車は小さな庭にある車庫の脇に止まっている。
「着地成功!」
「ハリー、ここがウィーズリー家よ」
赤い屋根に4本か5本ある煙突に、少しツギハギに造られたように見える家。
入口近くには【隠れ穴】と書かれているプレートがぶら下がっているのがウィーズリー家。
私が6歳から生活させてもらっている、暖かくて素敵な家である。
「たいしたことないだろう」
「すっごいよ」
4人で車を降りながら、そわそわと家の方へと視線を向ける。
「さあ、みんな、そーっと静かに2階に行くんだ」
「お袋が朝食ですよって呼ぶまで待つ。それから、ロン、おまえが下に跳び跳ねながら降りていって言うんだ。『ママ、夜の間に誰が来たと思う!』そうすりゃハリーを見てお袋は大喜びで、俺たちが車を飛ばしたなんてだーれも知らなくてすむ」
「了解。じゃ、ハリーおいでよ。僕の寝室は」
「あ·····」
私とロンは家を振り返ってから青ざめた。
そして、私とロンの様子を見て残りの4人が急いで振り返って青ざめる。
モリーおばさんが庭の方から、鶏を蹴散らかしながら歩いてきてるのだ。
あの様子からすると、色々バレている可能性がある。
「アチャ!」
「こりゃ、だめだ」
「怒られるわね·····」
モリーおばさんは私たちの目の前で止まる。
両手に腰を当てて、目を釣りあげながら私たちを見てきてから一言。
「それで?」
「おはよう、ママ」
「母さんがどんなに心配したか、あなたたち、わかってるの?」
「モリーおばさん、ごめんなさい。本当に·····」
「ママ、ごめんなさい。でも、僕たちどうしても·····」