第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「マルフォイ家に『屋敷しもべ』がいるかどうか、僕知らないけど……」
「また、誰が主人かは知らないけど、魔法族の旧家で、しかも金持ちだね」
「あぁ、ママなんか、アイロンかけする『しもべ妖精』がいたらいいのにって、しょっちゅう言ってるよ。だけど家にいるのは、やかましい屋根裏お化けと、庭に巣食ってる小人だけだもんな。『屋敷しもべ妖精』は、大きな館とか城とか、そういうところにいるんだ。俺たちの家なんかには、絶対に来やしないさ……」
ふと、あることを思い出した。
名付け親とセブにフリート家の話を聞かせてもらった時に、フリート家は魔法族の旧家でもあったと。
そして『屋敷しもべ妖精』もいたと教えてくれた。
フリート家は旧い純血の家。
だけど、マグルびいきだったり純血主義の考えを持っていなかった為に聖・28一族には選べられなかったと言われていると聞いたこともある。
(そういえば……マルフォイなら、『屋敷しもべ』を送り込んでわざと嘘を教え込むというのもしそうだわね)
だけど、そこまでして私たちにホグワーツに来て欲しくないのかしらと考え込む。
するとロンがハリーに話しかけた。
「とにかく、迎えにきてよかった。いくら手紙を出しても返事をくれないんで、僕とアリアネ、ほんとに心配したぜ。始めはエロールのせいかと思ったけど」
「エロールって誰?」
「うちのふくろうさ。彼はもう化石だよ。何度も配達の途中でへばってるし。だからヘルメスわ借りようとしたけど」
「誰を?」
「パーシーが監督生になった時、パパとママが、パーシーに買ってやったふくろうさ」
フレッドはそう答えた。
「だけど、パーシーは僕に貸してくれなかったろうな。自分が必要だって言ってたもの。だからアリアネのジークを借りて手紙を届けさせたんだよ」
「それより、最近パーシーの様子、変じゃない?」
私の言葉に、ハリー以外の全員が頷いた。
「パーシーのやつ、この夏休みの行動がどうも変だ。実際、山ほど手紙を出してる。それに、部屋に閉じこもってる時間と半端じゃない。……考えてみろよ、監督生の金バッジを磨くったって、限度があるだろ。……フレッド、西に逸れすぎだぞ」
ジョージは計器盤のコンパスを指さしながら言うと、フレッドはハンドルを回す。
「じゃ、お父さんは、君たちがこの車を使ってることを知ってるの?」