第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
「三人とも急いだ方がいいわ。ローブを着て。私、前の方にいって運転手に聞いてきたんだけど、もうまもなく着くって。三人とも、けんかしてたんじゃないでしょうね?まだ着いてもいないうちから問題になるわよ!」
「スキャバーズがけんかしてたんだ。僕たちじゃないよ。アリアネは失礼な奴にお説教してただけ」
お説教というよりも、脅しかもしれない。
あとでマルフォイに口封じしなければいけないかしら……と思いながら、私はトランクからローブなどを取り出していく。
「よろしければ、着替えるから出ていってくれないかな?」
「いいわよ。みんなが通路で駆けっこしたりして、あんまり子供っぽい振る舞いするもんだから、様子を見にきてみただけよ」
ハーマイオニーは鼻で笑ってみせる。
そして、彼女はロンの鼻を見てから小馬鹿にするように言った。
「ついでだけど、あたなの鼻、泥がついてるわよ。気がついてた?」
そう言い残すと、ハーマイオニーは出ていった。
ロンはというと、鼻を擦りながらも出ていくハーマイオニーを睨みつけている。
どうやらロンはハーマイオニーがとても苦手になったみたい。
そして私は窓の外を覗く。
外は暗く、深い紫色の空に山や森が見えていて、汽車は徐々に速度を落としていた。
「とりあえず、着替えよう」
「にしても、マルフォイ家は純血主義なのになんで半純血の私に声をかけるのかしら」
「……純血主義?」
「純血主義っていうのはね、マグルの血が一滴も入ってない純血の魔法使いだけが良いっていう、頭のおかしい人たちなの。でね、純血の一族があって、マルフォイ家はその家よ」
「そうなんだ。ちなみに、半純血ってのは?」
「半純血は、純血の血を持つ人とマグル出身の人の間に生まれた人のことを言うのよ。私の父は、純血の家の人間で母はマグル生まれなの」
ハリーは私の言葉に『へえ』と言葉を洩らす。
「ちなみに、アリアネはフリート家っていう、魔法界では最も旧いと言われてる純血の一族の血筋を持っているんだよ!有名な家だよ」
「そうなんだね!」
「ええ。もう数少ない旧い家で、フリート家はもう私だけなの。後はもう……皆死んでしまってるから、フリート家最後の人間の私に近づくのがいて、迷惑なの」
やれやれと私は肩を竦めてみせる。
フリート家は旧い純血族の家だけど、もう滅びる寸前の家でもある。