第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「明日の夜に行くって、どういうことなの?」
「パパの車を拝借するのさ」
「そして、ハリーを迎えに行く」
その言葉を聞いたアリアネとロンはポカンとした。
だがそれは名案であり、直ぐに二人は双子の話に乗ることにした。
何せ2人はとてもハリーが心配だったから。
「じゃあ明日の夜、こっそりと行くぞ」
「マグルとママとパパに見つからないようにな。もしハリーを迎えに行くなんて知ったら、あの人たちうるさいかもしれないから」
「わかったよ」
「明日の夜ね、分かったわ」
こうして、4人は明日の夜にハリーの家に行くことを決めたのであった。
そしてアリアネは眠るためにロンの部屋を後にしてから、自身の部屋へと向かう。
アリアネの部屋はロンの隣。
そして扉をあけて、部屋に入ろうとした時、カタンと音が鳴って扉が閉められた。
驚いたアリアネが扉を見れば、扉には抑えるように手が置かれている。
「アリアネ」
声が聞こえて振り向けば、フレッドが立っていた。
扉と自身の間にアリアネを閉じ込めるようにして。
「なあに、フレッド。私部屋に入りたいんだけれど」
「いやあ、最近妬けると思ってさ」
「妬ける……?何に?」
キョトンとしたアリアネは、首を傾げて見せた。
「ずっとハリー、ハリーばっかり言ってるだろう?妬けちゃうぜ、まったく」
「だって心配なんだもの。フレッドは心配じゃないの?」
「心配だけれど、妬けるな」
フレッドは、頭を下げるとアリアネの肩に顎を置く。
そして彼女の首筋に顔を埋めるようしていれば、花の匂いがした。
ボディークリームの匂いなのか、ラベンダーとカモミールの優しい匂いがする。
「ちょ、擽ったいわ……」
「妬けるよ、本当に」
フレッドは幼い頃からアリアネに好意を寄せている。
それはアリアネがウィーズリー家に来た時に、一目惚れしてからだった。
漆黒の黒髪に、ルビーのような瞳。
そして柔らかな笑顔は一瞬でフレッドの心を掴んでしまい、それからずっと好きだった。
だからアピールをするけれど、やっぱり気恥ずかしくて『冗談』と言ったりとしている。
「もしかして、ハリーが好きなのかい?」
「好きよ。あ、でも恋愛的な意味じゃなくて親愛の意味ね」
「そうか、そうか」
フレッドは嬉しげに声を弾ませた。