第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
ハーマイオニーはその言葉を聞いた瞬間、腕に顔を埋めていた。
小さくすすり泣く声が聞こえたのはきっと、嬉し泣きなのだろう。
「次に、アリアネ・イリアス・フリート嬢……どんな事があっても友を見捨てることなく、そして勇敢にも悪に立ち向かった姿を称え、グリフィンドールに50点を与える」
グリフィンドールからの歓声が更に大きくなった。
私はと言うと、まさか点数を貰えるとは思わずに固まってしまい、ハーマイオニーが泣きながら私を抱きしめてきて固まりながらも彼女を抱きし返していた。
「4番目にハリー・ポッター君……」
歓声が静まる。
そして皆がハリーへと視線を向けた。
「……その完璧な精神力と、並外れた勇気を称え、グリフィンドールに60点を与える」
耳の鼓膜が破れるんじゃないかというぐらいの歓声が巻き上がった。
グリフィンドールはなんと、522点にもなったて最下位から1位に浮上したのだから。
喜んでしまうに決まっているし、私やっと動けるようになってハーマイオニーを強く抱きしめた。
しばらくして、ダンブルドアが手を挙げた。
すると歓声は静まり、再び大広間に静けさが戻る。
「勇気にもいろいろある。敵に立ち向かっていくのにも大いなる勇気がいる。しかし、味方の友人な立ち向かっていくのにも同じくらい勇気が必要じゃ。そこで、わしはネビル・ロングボトム君に10点を与えたい」
大広間が爆発するんじゃないかと思った。
グリフィンドールは今まで以上の歓声が湧き上がっていて、私やハリーにロンとハーマイオニーは立ち上がって叫びながら歓声を上げる。
ネビルはというと、本人は何が起きたか分からないのか青白くなりながらも皆に抱きつかれていた。
そしてハリーは私とロンの脇腹をつついてから、マルフォイを指さす。
マルフォイは金縛りの術をかけられたんじゃないかというぐらいに、固まって動けなくなっていた。
そしてレイブンクローとハッフルパフと、スリザリンがトップから堕ちたことに喜んでいた。
「したがって、飾り付けをちょいと変えねばならんのう」
ダンブルドアが手を叩いた瞬間、飾り付けがガラリと変わった。
グリーンの垂れ幕は真紅へと、銀色は金色へと。
巨大なスリザリンの蛇は消えて、グリフィンドールのそびえ立つライオンが現れた。
大広間は瞬く間にグリフィンドールに染められた。