第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「たがらいつも言ってるだろう。ダンブルドアは狂ってるって」
たしかにちょっとおかしい所はある。
私はロンの言葉に少し頷きながら、未だに痛む後頭部を少しだけ撫でた。
「それで君たち二人の方はどうしたんだい?」
「そうよ、それが1番気になってたのよ」
「えぇ、私、ちゃんと戻れたわ。私、ロンの意識を回復させて……ちょっと手間がかかったけど……そしてダンブルドアに連絡するために、二人でふくろう小屋に行ったら、玄関ホールで本人に会ったの……。ダンブルドアもう知っていたわ……『ハリーとアリアネはもう追いかけていってしまったんだね』とそれだけ言うと、矢のように4階に駆けていったわ」
「ダンブルドアは君たちがこんなことをするように仕向けたんだろうか?だってハリーにはお父さんの透明マントを送ったりして、アリアネにはどんな魔法からも身を守るためのネックレスを送ったりしてさ」
ロンの言葉に私は首を傾げる。
わざわざダンブルドアは今回の件を、私とハリーに仕向けようと本当にしたのだろうか。
そう考えてから私は首を横に振った。
仕向けたというよりも、何か目的があったのかもしれない。
そう思っていればハーマイオニーがカッとした表情になった。
「もしも、そんなことをしたんだったら……言わせてもらうわ……ひどいじゃない。ハリーとアリアネは殺されてたかもしれないのよ」
「ううん、そうじゃないさ」
ハリーが首を横に振った。
「ダンブルドアって、おかしな人なんだ。たぶん、僕とアリアネにチャンスを与えたいって気持ちがあったんだと思う。あの人はここで何が起きているか、ほとんどすべて知っているんだと思うり僕たちがやろうとしていたことを、相当知っていたんじゃないのかな。僕たちを止めないで、むしろ僕たちの役に立つよう、必要なことだけを教えてくれたんだ」
「私も、そう思うわ。ダンブルドアはおかしな人だけど、ちゃんと優しい人よ。私とハリーを殺すために仕向けたとは思わないわ」
「そうさ、アリアネの言う通り。それに、鏡の仕組みがわかるように仕向けてくれたのも偶然じゃなかったんだ。僕とアリアネにそのつもりがあるのなら、ヴォルデモートと対決する権利があるって、あの人はそう考えていたような気がする……」
私とハリーの両親の仇である、ヴォルデモートと対決する権利を。