第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「たったの5分でいいから」
「お願いします、5分でもいいですから……」
翌朝、私とハリーはマダム・ポンフリーに懇願していた。
ハーマイオニーとロンと会いたいけれど、マダム・ポンフリーがそれを許してくれないのだ。
良い人だけれどかなり頑固であり、私とハリーは困っていた。
「いいえ。絶対にいけません」
「ダンブルドア先生は入れてくださったのに……」
「マクゴナガル先生も入れてくださったのに……」
「そりゃ、校長先生と先生ですから、他とは違います。貴方がたには休息が必要なんです」
「僕、休息してます。ほら、横になってるし。ねえ、マダム・ポンフリーお願い……」
「私も休息したます。ちゃんとベッドの上で横になってますから。お願いします、マダム・ポンフリー……」
私とハリーは必死に懇願した。
すると、マダム・ポンフリーはため息を吐くと仕方ないと言わんばかりの表情になる。
「仕方ないわね。でも、5分だけですよ」
「ありがとうございます!マダム・ポンフリー!」
そうして、ロンとハーマイオニーは医務室に入れてもらえた。
「ハリー!アリアネ!」
ハーマイオニーとロンは飛び込むように入ってきてから、私とハリーの頭を巻かれた包帯を痛々しそうに見ながら眉を下げていた。
「あぁ、ハリー、アリアネ。私たち、貴方たちがもうダメかと……ダンブルドア先生がとても心配してらっしゃったのよ……」
「学校中がこの話でもちきりだよ。本当は何があったの?」
「私は途中で意識を無くしてたから、ハリーが知っているわ。それに私も聞きたいから、ハリー、話てちょうだい」
「そうだね、分かった。話すよ」
ハリーは私が意識があった時のことや、意識を飛ばした後の一部始終を話してくれた。
クィレルの事や鏡のこと、賢者の石にヴォルデモートの事を話した。
ハーマイオニーは、クィレルのターバンの下にヴォルデモートの顔があった話を聞くと小さく悲鳴をあげた。
ロンも怖そうに顔を歪ませながらも、話を聞いていた。
「それじゃ『石』はなくなってしまったの?フラメルは……死んじゃうの?」
「僕もそう言ったんだ。でも、ダンブルドア先生は……ええと、なんて言ったけかな」
「整理された心を持つ者にとっては、死は次の大いなる冒険にすぎないって、言ってたわね」
「そう、それだよ」