第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「Ms.フリート。マクゴナガル先生が面会に来られてますよ」
「マクゴナガル先生·····!」
マダム・ポンフリーの後ろには、マクゴナガル先生がいてカーテンの中に入ると椅子に腰掛けた。
もしかしたら怒られるのかなと思ったりしたけれど、彼女は優しい表情を浮かべているだけ。
「ダンブルドア先生からは、ヘレンと私の話を聞いたと思います」
「あ、はい。私の母と親子のように仲が良かったと」
「ええ。ヘレンはとても優秀な子でした。特に私の教科が得意でして、時間があれば私によく質問しに来ていましたよ。そこから、私は彼女と仲良くしていました。孤児だった彼女は、私を母のように慕ってくれましたね」
「そうだったんですね·····」
「貴方を初めて見た時、私は孫娘が産まれたような気がしました。とても可愛らしい女の子の赤ちゃんで、私を見て笑ってくれました」
マクゴナガル先生は目を細めて微笑む。
私は祖父母は居なくて、祖父母という存在をよく知らない。
父さん方のフリート家の祖父母は既に他界しているし、母さんも孤児だから、母方の祖父母もいなかった。
でも、マクゴナガル先生の今の雰囲気は祖母のような優しさだった。
本で見たような優しいおばあちゃんのような、優しい雰囲気。
「あんなに小さな赤ちゃんが、こんなにも大きくなって·····」
「マクゴナガル先生·····」
「私は教師である以上、1生徒を特別に出来ませんが·····ですが、貴方を孫娘のように思っています。何かあれば、私に話してください。何時でも相談に乗りますからね。そう、例えば恋の話なんて」
ウィンクするマクゴナガル先生は、いつもの厳しいマクゴナガル先生じゃなかった。
そんな彼女に私は笑いながら頷く。
「私はそろそろ行きます。ゆっくりと休み、怪我を治すのですよ」
「はい。ありがとうございました、マクゴナガル先生」
マクゴナガル先生はカーテンを開けると出ていくと、ハリーの方から彼女の声がした。
どうやらハリーの様子も見に来たようで、彼らの会話を聞いている時。
「アリアネ」
よく知っている声が聞こえて、私はそちらへと視線を向ければカーテンの隙間からフレッドが顔を覗かせていた。
彼は辺りを見渡しながら、カーテンの中に入ってくる。
「フレッド……!?」
「シー。マダム・ポンフリーに見つかる」