第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
たしかに、複雑ではある。
仲のいい親友が、自分の嫌いな人間の幼なじみというのは私も嫌だ。
「それに、アリアネの父上はよくハリーの父上と一緒になって悪戯をしたり、ハリーの父上に巻き込まれたりしていたからのぉ。それがろくな事が起きんということじゃろう」
「なるほど·····理解できました。ありがとうございます、ダンブルドア先生。でも、セブも分かりにくいですね·····ちゃんと話してくれたら良いのに」
そう言った瞬間、何故かダンブルドアは悲しげに笑っていた。
何故、悲しそうにしているんだろうと思っていればダンブルドアは私から視線を逸らしてしまう。
なんで、逸らしたのだろう。
そう思いながらダンブルドアを見ていれば、ハリーがまた質問を投げかけた。
「あの、先生。もう1つあるんですが」
「もう1つだけかい?」
「僕はどうやって鏡の中から『石』を取り出したんでしょう?」
「おぉ、これは聞いてくれてうれしいのう。例の鏡を使うのはわしのアイデアの中でも1段とすばらしいものでな、ここだけの秘密じゃが、実はこれがすごいんじゃ。つまり『石』を見つけたい者だけが、よいか、見つけたい者であって、使いたい者ではないぞ。それを手に入れることができる。さもなければ、鏡に映るのは、黄金を作ったり、命の水を飲む姿だけじゃ。わしの脳みそは、時々自分でも驚くことを考えつくものよ·····さあ、もう質問は終わり」
するとダンブルドアはハリーの机に並ぶお菓子へと視線を投げた。
「そろそろこのお菓子にとりかかってはどうかね。あっ!バーティー・ボッツの百味ビーンズがある!わしゃ若い頃、不幸にもゲロの味に当たってのう。それ以来あまり好まんようになってしもうたのじゃ·····でもこの美味しそうなタフィーなら大丈夫だと思わんか」
ダンブルドアはニコニコしながらも、こんがりした茶色のビーンズを口に入れた。
そしてむせ返った。
「なんと、耳くそだ!」
その後、ダンブルドアは『ゆっくりと休むように』と言って医務室を後にした。
すると入れ違うようにマダム・ポンフリーが入ってきて、私にベッドに戻るように促して私とハリーは眠ることに。
夕方近く。
マダム・ポフリーから出された苦い薬を飲んで、眠りにつこうとした時だ。
カーテンが開き、マダム・ポンフリーが顔を覗かせた。