第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「はい。その人です·····クィレルが言ったんですが、彼が僕のことを憎むのは、僕の父を憎んでいたからだと。それは本当ですか?」
「あ、それは私も聞きたいです。セブはハリーのお父さんをよく思っていなかったみたいですが·····」
「そうじゃな、お互い嫌っておった。ハリーとMr.マルフォイのようなものだ。そして、君の父上が行ったあることをスネイプは決して許せなかった」
ハリーのお父さんはどんなことをしたんだろうか。
そうと思いながら、ダンブルドアを見上げる。
「なんですか?」
「スネイプの命を救ったんじゃよ」
「「なんですって?」」
私とハリーの声が重なった。
だって、命を救ったのにセブばハリーのお父さんを憎むということはどういうことなのだろうかと驚いてしまったから。
普通は感謝したりするものじゃないのだろうか。
「さよう·····。人の心とはおかしなものよ。のう?スネイプ先生は君の父上に借りがあるのが我慢ならんかった·····この1年間、スネイプは君を守るために全力を尽くした。これで父上と五分五分になると考えたのじゃ。そうすれば、心安からに再び君の父上の思い出を憎むことができる、とな·····」
「あの、ダンブルドア先生。質問をまた、してもいいでしょうか?」
「よいぞ、アリアネ」
「セブが、ハリーと一緒にいるとろくな事にならないとか言っていたんですが·····。それに、私の両親もハリーのお父さんといたらろくな事が起きなかったとか·····」
ハグリッドは教えてはくれなかったけれど、ダンブルドアなら教えてくれるかもしれない。
そう思いながら期待した目でダンブルドアを見ていれば、彼は困ったように笑っていた。
「アリアネを守ろうとしていたんじゃよ、スネイプは。ハリーといれば、君もクィレルに命を狙われると思っていたんじゃろう。だからハリーに近寄らせんようにしていたんじゃよ」
「·····分かりづらい!!」
「仕方ない、ああいう男なんじゃよ。それと、先程ハリーの父上とアリアネの父上は幼なじみと言ったじゃろ?だが、アリアネの父上はスネイプの薬学の知識に尊敬していてなあ·····話しかけて話しかけてそれで仲良くなったんじゃよ。なのに、スネイプは自身が嫌いっている男が唯一無二の親友の幼なじみなのが許せんかったのじゃよ」