第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
痛さでふと、意識が浮上するのがわかった。
ずきずきと頭が痛むと思いながら、重たくてたまらない瞼を必死に開けようとする。
「Ms.フリート!?聞こえますか、Ms.フリート!!」
マクゴナガル先生の声が聞こえた。
もしかして、私ったら授業中に眠ってしまったのだろうかと焦った。
「はい!!マクゴナガル先生!!」
私はガバッと勢いよく飛び起きた。
その瞬間、頭部に激しい頭痛がしてクラクラと目眩もしてそのまま何処かに倒れ込んだ。
身体を包み込む感覚に、どうやら私はベッドの上にいるようだと気付く。
ふと、横を見れば心配そうに顔を歪ませているマクゴナガル先生がいた。
よく見れば隣にはダンブルドアとマダム・ポンフリーもいる。
「·····あれ、私·····」
「目が覚めたかの、アリアネ」
「ダンブルドア··········あ!!」
私は一気に思い出した。
クィレルが賢者の石を探していたことや、ハリーの事も全部思い出してまた飛び起きる。
「ハリーとクィレっ、いっ!!」
「急に飛び起きるのではありません!Ms.フリート!貴方、頭を強く壁にぶつけて血を流していたんですよ!」
「あ··········そうだ、クィレルに投げ飛ばされて·····」
そのまま壁に頭を強くぶつけた事を思い出した。
痛む頭を抑えながら、私はダンブルドアへと手を伸ばして彼の服を掴んだ。
「ダンブルドア先生、クィレルが!賢者の石を·····!ハリーが!」
「安心せい、アリアネ。全て終わった」
「·····え?全て終わった?」
「賢者の石は大丈夫じゃ。ハリーも無事だよ。ほれ、あそこに眠っているだろう?」
ダンブルドアが指さした先には、真っ白なベッドに横たわっているハリーの姿があった。
その姿に安堵していると、ダンブルドアがマクゴナガル先生とマダム・ポンフリーに席を外すように伝える。
マクゴナガルは『また来ますね』と何処か嬉しそうに、心配そうにしながらも出て行った。
「ミネルバは、君を実の孫娘のように思っているからの。君を心配しているのだ」
「孫娘·····?」
「君のお母さん、ヘレンは孤児だった。そんな彼女をミネルバ·····マクゴナガル先生はとても気にかけていた。それにヘレンもマクゴナガル先生によく懐いてな·····それこそ親子のようだった」
「·····それは、知りませんでした」