第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
「話は変わるけどさ、君、クィディッチはどこのチームのファン?」
「うーん、僕、どこのチームも知らない」
「ひえー!」
「当たり前でしょう、ロン。ハリーはマグル界にいたんだから」
知らなくて当たり前だ。
だけど私もあまり詳しくはない、見るのは好きだけど詳しくなるほど大好きって訳じゃない。
でもロンはそうじゃない、だって凄くクィディッチが大好きだから。
「まあ、そのうちわかると思うけど、これ、世界一おもしろいスポーツだぜ……。アリアネは興味無いけどな」
「クィディッチは見るのは好きよ?でも、チームは詳しくないの」
クィディッチはボール四個、選手は七人でする魔法界の有名なスポーツ。
ロンはハリーにクィディッチについて凄く詳しく説明を始めた。
試合を見に行った話、こんな箒が買いたい。
そして専門的な話をロンが語ろうとした時である、本日三回目、コンパートメントが開いたのだ。
(コンパートメントって、こんなに開けられるものなのかしら?)
でも次は、ネビルって子じゃなければハーマイオニーでもなかった。
青白い肌をしている、少し性格悪そうな顔をした男の子と、その両脇にいる体格の良い子が私たちを見回す。
「ほんとうかい?このコンパートメントに、ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートがいるって。汽車の中じゃその話で持ち切りなんだけど。そこの赤い瞳の子がアリアネ・イリアス・フリートで、君がハリー・ポッターなのか?」
「ええ、そうよ」
「そうだよ」
それにしても……と私は真ん中の子の両脇に立つ子達を見上げる。
がっちりとした体格、そして顔はこの上なく意地悪そうだ。
「こいつはクラッブで、こっちがゴイルさ。そして、僕がマルフォイだ。ドラコ・マルフォイ」
聞いたことがある名前に、私は思わず顔を顰める。
マルフォイ家は魔法界では有名な純血の家であり、悪評高くもある家だ。
嫌な子に話しかけられたと小さく息を洩らしていれば、ロンが笑ってしまい慌ててそれを誤魔化すように咳払いをしていた。
そんなロンを、マルフォイは軽く睨み付ける。
「僕の名前が変だとでも言うのかい?君が誰だか聞く必要もないね。パパが言ってたよ。ウィーズリー家はみんな赤毛で、そばかすで、育てきれないほどたくさん子供がいるってね」