第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
ジョージが揶揄う為に、ロンに教えたに違いない。
でもロンは変なところ素直だから、あっさり信じてしまったのだ。
「だって、最初は信じてたんだよ」
「変に素直よね、貴方って」
「ところでさ、君の……ロンの兄さんたちってどこの寮なの?」
「グリフィンドール。ママもパパもそうだった。もし僕がそうじゃなかったら、なんて言われるか。レイブンクローだったらそれほど悪くないかもしれないけど、スリザリンに入れられたら、それこそ最悪だ」
スリザリンは確かに、嫌だ。
あそこの人間はあまり人間性がよくない人たちが集まっていると聞くから。
それに一番嫌な理由は……。
「そこって、ヴォル……つまり、『例のあの人』がいたところ?」
「ああ」
「あそこに入るのは、確かに嫌ね」
はあ……と私とロンはため息を吐く。
だけど私はあそこに入る可能性があるのだ……何せ、父方の祖父と曾祖父はスリザリンだったらしいから。
父さんがイレギュラーなグリフィンドールだったらしい。
できれば、父さんと同じグリフィンドールがいい。
なんて思いながら肩を竦めていれば、話題を変えようとしたのかハリーがスキャバーズを指さす。
「あのね、スキャバーズのひげの端っこの方が少し黄色っぽくなってきたみたい。それで、大きい兄さんたちは卒業してから何してるの?」
「チャーリーはルーマニアでドラゴンの研究。ビルはアフリカで何かグリンゴッツの仕事をしてる」
「二人とも、仕事をしてるの。優秀だって聞いたわ」
忙しそうにしているけど、たまにふくろう便で手紙をくれたりしている。
チャーリーは特に楽しそうだ。
「グリンゴッツのこと、聞いた?『日刊予言新聞』にベタベタ出てるよ。でもマグルの方には配達されないね……誰かが特別警戒の金庫を荒そうとしたらしいよ」
「ほんと?それで、どうなったの?」
「なーんも。だから大ニュースなのさ。捕まらなかったんだよ。グリンゴッツに忍び込むなんて、きっと強力な闇の魔法使いだろうって、パパが言うんだ」
「大騒ぎだったものね。でも、何も盗ってないから不思議なのよね。グリンゴッツに忍び込んだのに」
「そうなんだよなあ。当然、こんなことが起きると、影に『例のあの人』がいるんじゃないかって、みんな恐がってるんだよ」
モリーおばさんは、ビルを凄く心配していた。
息子の職場である場所でそういう事件が起きたから。