第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「でもスネイプは僕を殺そうとした!」
「いや、いや、いや。殺そうとしたのは私だ。あのクィディッチの試合で、フリートと君たちの友人のMs.グレンジャーがスネイプに火をつけようとして急いでいた時、たまたま私にぶつかって私は倒れてしまった」
「じゃあ、あの時·····ハリーが箒から落ちなくなったのは、あなたが倒れたから·····」
あの時に、私とハーマイオニーがクィレルにぶつかったからハリーは箒から落ちることはなかった。
セブが呪文を唱えていたり、ハリーを箒から落とそうとしてはいなかったのだ。
するとクィレルは笑った。
すごく邪悪に笑いながら、私を真っ直ぐに見ていて、その瞳にぞっとする。
「その通りだよ、フリート!君たちのせいで、私は倒れてしまってポッターから目を離してしまったんだ。もう少しで箒から落としてやれたんだが。君を救おうとしてスネイプが私のかけた呪文を解く反対呪文を唱えてさえいなければ、もっと早く叩き落とされたんだ」
「スネイプが僕を救おうとしていた?」
「じゃあ、セブはハリーを殺そうなんてしなかったの?ハリーを救おうとあの時呪文を唱えていのね·····」
「そのとおり」
私は嬉しかった。
今の状況は喜ぶ場合じゃないけれど、セブがハリーを救おうとしていたことを、ハリーを殺そうなんてしていなかった事が嬉しくてたまらない。
「彼がなぜ次の試合で審判を買って出たと思うかね?私が二度と同じ事をしないようにだよ。まったく、おかしなことだ·····そんな心配をする必要はなかったんだ。ダンブルドアが見ている前では、私は何も出来なかったのだから。他の先生方は全員、スネイプがグリフィンドールの勝利を阻止するために審判を申し出たと思った。スネイプは憎まれ役を買って出たわけだ·····ずいぶんと時間をムダにしたものよ。どうせ今夜、私がお前を殺すのに」
「なんですって!?」
クィレルは指を鳴らす。
すると、どこからとも無く縄が現れてハリーの体を固く巻き付けたのだ。
慌てた私はハリーに駆け寄り、縄を解こうとするけれど縄は解けない。
「なんで、解けないの·····!!」
「人の手では解けない。そうそう、私はお前も殺さないといけないのだよフリート!」
私の体にもいつの間にか縄が付いていて、解けないように絡まれていた。
「あッ!?」
「アリアネ!!」