第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
「だって、最高の魔法学校だって聞いているもの……教科書はもちろん、全部暗記したわ。それだけで足りるといいんだけど……私、ハーマイオニー・グレンジャー。あなた方は?」
「僕、ロン・ウィーズリー」
「アリアネ・イリアス・フリートよ」
「ハリー・ポッター」
自己紹介をすると、ハーマイオニーは私とハリーの名前を聞いて驚いた顔をしていた。
どうしたのだろうと思えば、彼女は思い出すように話し出す。
「ほんとに?貴方たち、アリアネ・イリアス・フリートにハリー・ポッターなのね。私、もちろんあなた達のこと全部知ってるわ。参考書を二、三冊読んだの。あなた達のこと、『近代魔法史』『闇の魔法術興亡』『二十世紀の魔法大事件』なんかに出てるわ」
私は顔を少しだけ顰める。
そういえば、私とハリーの名前はそういう参考書に乗っているのだ。
私とハリーの両親が死んだのは、魔法界ではかなりの騒ぎになっていた。
そして私たちは、あの人に殺されかけても生き残った子供にあの人が目の前にいたのにも関わらず殺されることもなかった子供という事で有名らしい。
「僕が?」
でもハリーは知らなかったみたいで、少し驚いた顔をしている。
「まあ、知らなかったの。私があなただったら、できるだけ全部調べるけど。三人とも、どの寮に入るかわかってる?私、いろんな人に聞いて調べたけど、グリフィンドールに入りたいわ。絶対一番いいみたい。ダンブルドアもそこ出身だって聞いたわ。でもレイブンクローも悪くないかもね……とにかく、もう行くわ。ネビルのヒキガエルを探さなきゃ。三人とも着替えた方がいいわ。もうすぐ着くはずだから」
ノンブレスで言葉を続けたハーマイオニーは、ネビルと呼ばれた男の子を連れて出ていってしまった。
そんな女の子を見送りながらも、私たちは何とも言えない表情になる。
よく喋る子だった。
ジニーもお喋りだし、私もよく喋る方ではあるけどあそこまでは喋れない。
「よく、喋る子だったわね……」
「どな寮でもいいけど、あの子のいないところがいいな」
どうやらロンは、ハーマイオニーが苦手らしい。
杖を乱暴にトランクに投げ入れながら、ため息を小さく洩らしていた。
「へぼ呪文め……ジョージから習ったんだ。ダメ呪文だってあいつは知ってたのに違いない」
「私、何度も言ったとおもうけど?そんな呪文無いって」