第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「僕は透明マントを使うよ。マントが戻ってきたのはラッキーだった」
「でも4人全員入れるかな?」
「全員って……君たちも行くつもりかい?」
ハリーは目を見開かせた。
でも私たちは止められても行くつもりなのだ。
「バカ言うなよ。君だけを行かせると思うのかい?」
「もちろん、そんなことできないわ」
「ええ、そうよ。それにハリー、私だってヴォルデモートに両親を殺されているのよ。黙って貴方を見送るつもりなんてないわ」
「……アリアネ」
私だって、ヴォルデモートに両親をあの日の夜に殺されてしまっている。
それなのに黙って事が済むのを見ているつもりなんて、さらさらない。
仇であるヴォルデモートの好きなようにさせたくない。
それに、両親が過ごしてきた大切なホグワーツを闇の魔法になんかで染められたくもないのだ。
「私たちがいなけりゃ、どうやって『石』までたどり着くつもりなの。こうしちゃいられないわ。私、本を調べてくる。何か役に立つことがあるかも……」
「でも、もし捕まったら、君たちも退校になるよ」
「それはどうかしら」
ハーマイオニーはにっこりと笑う。
「フリットウィックがそっと教えてくれたんだけど、彼の試験で私とアリアネは100満点中112点だったんですって。これじゃ私とアリアネを退校にはしないわ」
「え、私そんな点数だったの?」
「ええ、素晴らしいものだったと言っていたわ」
「それは嬉しいわね」
結果が正式に発表されたら、名付け親やウィーズリー家のおじさんとおばさんに手紙を書いて知らせようと思った。
夕食の後、談話室で私たちは落ち着かない様子で皆から離れていた。
誰ももう私たちを気に止める様子はないし、皆私たちと口を聞かない。
無視されていても、別に私たちは気にならなかった。
(別に構わないわ、無視されていても。だって私には3人も素敵な友達がいるんですもの。他の人たちなんて関係ないわ)
ハーマイオニーは突破しなければならない呪いを1つでも見つけようとノートをめくっている。
私は、もし教師に見つかった時ように目くらましするための呪文を思い出したりしていた。
そしてやがて、談話室から人が消える。
「マントを取ってきたら」
「うん、取ってくるよ」
ハリーは急いで階段を駆け上がっていき、しばらくしてから談話室に戻ってきた。