第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「ここでマントを着てみた方がいいかな。4人全員隠れるか動画確かめよう……もし足が1本だけはみ出して歩き回っているのをフィルチにでも見つかったら……」
マントを被せようとした時だ。
「君たち、何してるの?」
部屋の隅の方から声が聞こえてきて、私たちは弾かれるようにそちらへと視線を向ける。
隅にある、肘掛椅子の影からネビルが現れ、彼の手には逃亡しようとしたのかヒキガエルが握られていた。
「なんでもないよ、ネビル。なんでもない」
「ええ、なんでもないわよ、ネビル」
私とハリーはなんとか誤魔化そうとした。
「また外に出るんだろ」
「ううん。違う。違うわよ。出てないんかいないわ。ネビル、もう寝たら?」
厄介なことになった。
ネビルが居ることなんて気づけなかった事に、私はため息を吐きそうになる。
「外に出たらいけないよ。また見つかったら、グリフィンドールはもっと大変なことになる」
「君にわからないことだけど、これは、とっても重要なことなんだ」
「行かせるもんか」
ネビルは私たちが出れないようにと、肖像画の前に立ちはだかった。
「僕、僕、君たちと戦う!」
「ネビル」
ロンがキレてしまった。
「そこをどけよ。バカはよせ……」
「バカ呼ばわりするな!もうこれ以上規則を破ってはいけない!恐れずに立ち向かえと言ったのは君じゃないか」
「ああ、そうだ。でも立ち向かう相手は僕たちじゃない」
2人とも引かない。
ロンは眉を釣りあげながら、ネビルを睨みつけていた。
「ネビル、君は自分が何をしようとしてるのかわかってないんだ」
「やれるならやってみろ。殴れよ!いつでもかかってこい!」
困ったと思っていれば、ハリーが私とハーマイオニーの方へと振り向いた。
「なんとかしてくれ」
ハーマイオニーが1歩進んで、ネビルの前に立つ。
「ネビル、ほんとうに、ほんとうにごめんなさい。ベトリフィカス トタルス(石になれ)!」
ハーマイオニーが呪文を唱えると、ネビルの両腕は脇にピタリと張り付いたようになり、両足も綺麗に閉じて石のように固まったてしまった。
そしてパタリとその場にうつ伏せに倒れる。
私とハーマイオニーは駆け寄ると、ネビルをひっくり返した。
口は動かせずに目だけ動いている。
「ネビルに何をしたんだい?」