第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
私たちは4階の廊下に居ることは出来なくなり、寮の談話室へと戻った。
だけどまだ希望はある。
「でも、まだハーマイオニーがスネイプを見張ってる」
「そうね。ハーマイオニーが居るもの、大丈夫なはずよ」
だけど私たちな希望は呆気なく打ち砕かれた。
肖像画が開いたと思えば、焦った表情のハーマイオニーが入ってきたのだ。
「ハリー、ごめん!スネイプが出てきて、何してるって聞かれたの。フリットウィック先生を待ってるって言ったのよ。そしたらスネイプがフリットウィック先生を呼びに言ったの。だから私、ずっと捕まっちゃってて、いまやっと戻ってこれたの。スネイプがどこに行ったかわならないわ」
「じゃあ、もう僕が行くしかない。そうだろう?」
「ハリー!?」
私たちはハリーの言葉に顔面蒼白になった。
「僕は今夜ここを抜け出す。『石』を何とか先に手に入れる」
「気は確かか!」
「ダメよ!マクゴナガル先生にもスネイプにも言われたでしょ。退校になっちゃうわ!」
「だから何だっていうんだ?」
ハリーは思いっきり叫んだ。
その叫びに、私たちは思わず息を飲んで黙ってしまう。
「わからないのかい?もしスネイプが『石』を手に入れたら、ヴォルデモートが戻ってくるんだ。あいつがすべてを征服しようとしていた時、どんなありさまだったか、聞いているだろう?退校にされようにも、ホグワーツそのものがなくなってしまうんだ。ペシャンコにされてしまう。でなければ闇の魔術の学校にされてしまうんだ!」
「ハリー……」
「減点なんてもう問題じゃない。それがわからないのかい?グリフィンドールが寮対抗杯を獲得しさえしたら、君たちや家族には手出しをしないとでも思ってるのかい?もし僕が『石』にたどり着く前に見つかってしまったら、そう、退校で僕はダーズリー家に戻り、そこでヴォルデモートがやってくるのをじっと待つしかない」
ハリーの勢いに、私たちは何も言えなくなってしまう。
確かにグリフィンドールが寮対抗杯を手にしたって、ヴォルデモートが待ってくれるわけじゃない。
また恐ろしいことになってしまう。
「死ぬのが少しだけ遅くなるだけだ。だって僕は絶対に闇の魔法に屈服しないから!今晩、僕が仕掛け扉を開ける。君たちが何と言おうと僕は行く。いいかい、僕の両親はヴォルデモートに殺されたんだ」
「その通りだわ、ハリー」