第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
「僕たちは……」
ハリーが言葉を詰まらせる。
そんな彼を見ながら、セブばゆっくりとゆったりとした口調で話し出した。
「もっと慎重に願いたいものですな。こんなふうにうろうろとしている所を人が見たら、何か企んでいるように見えますぞ、グリフィンドールとしては、これ以上減点される余裕はないはずだろう?」
彼の言葉に、ハリーは顔を赤くする。
やっぱり嫌味を言うんだと思いながらも、私はセブと目を合わせれずにこの場に居るのも嫌で歩き出した。
慌ててハーマイオニー達が追いかけてきて、外に出ようとした時である。
「ポッター、警告しておく。これ以上夜中にうろついているのを見かけたら、吾輩自ら君を退学処分にするぞ。さあもう行きたまえ」
それだけを言うと、セブは私の方へと視線を投げる。
だけど私は慌ててセブと目が合わないように、視線を逸らしてしまう。
あからさますぎる態度に、セブは何か言いたげにしていたけれど職員室の方へと行ってしまった。
ハリーはセブが居なくなってから、入口の石段のところで話し出した。
「よし。こうしよう。誰か1人スネイプを見張るんだ……職員室の外で待ち伏せして、スネイプが出てきたら跡をつける。ハーマイオニー、君がやってくれ」
「なんで私なの?」
「あたりまえだろう。フリットウィック先生を待ってるふりをすればいいじゃないか」
するとロンはハーマイオニーの声色を真似して喋り始める。
「ああ、フリットウィック先生。私、14bの答えを間違えてしまったみたいで、とっても心配なんですけど……」
「まあ失礼ね。黙んなさい!」
結局、セブを見張るのはハーマイオニーとなった。
私たちは4階の廊下の外に居ることになり、急いでそこへと向かった。
だけど計画は失敗。
フラッフィーがいるドアの前に着いた瞬間、マクゴナガル先生が現れたのだ。
そして先生は堪忍袋の緒が切れたのか、すごい剣幕で怒ってきたのである。
「何度言ったらわかるんです!あなたたちの方が、何重もの魔法陣の守りより強いとでも思っているのですか!」
「ちが、違うんですマクゴナガル先生!」
「お黙りなさい、フリート!こんな愚かしいことはもう許しません!もし貴方たちがまたこのあたりに近づいたと私の耳に入ったら、グリフィンドールは50点減点です!ええ、そうですとも、ウィーズリー。私、自分の寮でも減点します!」