第4章 禁じられた森【賢者の石】
「スネイプはヴォルデモートのためにあの石が欲しかったんだ……ヴォルデモートは森の中で待っているんだ……僕たち、今までずっと、スネイプはお金のためにあの石が欲しいんだと思っていた」
「その名前を言うのはやめてくれ!」
でも、もしそうならセブは私の両親を殺したあの人の味方ということになる。
私はそわそわとしながら、本当にセブはあの人に協力しているのだろうかと考えた。
もしそうなら、私はセブを恨むことになるかもしれない。
両親を殺した人の味方であり、ヴォルデモートのために賢者の石を盗もうとしているセブを私は恨むことになる。
「フィレンツェは僕とアリアネを助けてくれた。だけどそれはいけないことだったんだ……ベインがものすごく怒っていた……惑星が起こるべきことを予言しているんだ……ヴォルデモートが僕とアリアネを殺すなら、それをフィレンツェが止めるのはいけないって、ベインはそう思ったんだ……僕とアリアネが殺されることも星が予言してたんだ」
「頼むからその名前を言わないで!」
ロンは耳を塞ぐようにして叫ぶ。
だけどハリーは心ここに在らずという感じで、ロンの声が聞こえていないようだ。
「でも、もしスネイプが本当にあの人の為に賢者の石を盗もうとしているなら……スネイプはアリアネを裏切っているようなものよ」
「……そうだよ。アリアネのママとパパを殺したのは例のあの人なんだ。スネイプはアリアネの両親の親友なのに。とんでもない裏切りじゃないか!」
ハーマイオニーとロンの言葉に、私は体温が下がっていくのを感じた。
ヴォルデモートに殺されるはずで、殺されかけてそしてセブに裏切られていたかもしれない。
絶望がゆっくりと私の胸に広がっていく。
私はあの日、ヴォルデモートが私の両親とハリーの両親を殺した日。
あの時私は何故か死ななかった……死んでもおかしくないはずなのに。
そして今回また、死ぬはずだったかもしれないのに助けられた。
だからベインさんはあんなにも怒っていたんだと思っていれば、吐き気が込み上げてくる。
するとハリーはまだ心ここに在らずの状態で呟き始めた。
「それじゃ、僕とアリアネは石を盗むのをただ待ってればいいんだ。そしたらヴォルデモートがやって来て僕とアリアネの息の根を止める……そう、それでベインは満足するだろう」