第4章 禁じられた森【賢者の石】
すると、ハーマイオニーが私の事を抱きしめながらハリーに慰める言葉をかけた。
「ハリー、ダンブルドアは『あの人』が唯一恐れている人だって、みんなが言ってるじゃない。ダンブルドアがそばにいるかぎり、『あの人』はあなたとアリアネに指1本触れることはできないわ。それに、ケンタウルスが正しいなんて誰が言った?私には占いみたいなものに思えるわ」
私は知らずに震えていたらしい。
ハーマイオニーは私が震えるたびに、強く強く抱き締めてくれる。
まるで『大丈夫よ』と言わんばかりに優しく。
「マクゴナガル先生がおっしゃったでしょう。占いは魔法の中でも、とっても不正確な分野だって。今日はもう、眠りましょう。そしたら気分も落ち着くはずよ」
ハーマイオニーに支えられるように、私は女子寮の階段を上がっていく。
そしてベッドに腰掛けながらも、震えが収まらない体を抱き抱えるようにする。
「大丈夫よ、アリアネ。ダンブルドアがいるかぎり、貴方はあの人に殺されることはないもの」
「……うん。でも、私……セブが、もしヴォルデモートに石を渡そうとしていたのなら、あの人に協力していたならと思ったら……」
「アリアネ……」
「私、これからあの人とどう接すればいいの……」
涙は出てこなかった。
恐怖と驚愕と絶望ばかりが私の胸を覆い尽くしていて、体は相変わらず震えたまま。
「今日はもう、眠りましょうアリアネ。そうだわ、一緒に眠りましょう」
ハーマイオニーは私のベッドに潜り込むと、私を抱き抱えて横になる。
彼女と緩やかな心臓の音が心地よく感じた。
「もし、スネイプが貴方を裏切っていたなら私は絶対に許さないわ。でもね、まだスネイプがあの人の為に石を盗もうとしているとは確定していないわ。だから、怖がらないでアリアネ。私が側にいるわ」
「……ハーマイオニー」
私は彼女に抱きつきながら、目をゆっくりと閉ざす。
思い浮かぶのは優しく微笑みながらも、私に呪文を教えてくれたり両親の話をしてくれたセブの姿。
どうか、セブがあの人と関係していないように。
そう願いながら、私は眠りにつくのだった。