第4章 禁じられた森【賢者の石】
「いったい誰がそんなに必死に?永遠に呪われるんだったら、死んだほうがましだと思うけど。違う?」
「そのとおり。しかし、他の何かを飲むまでの間だけ生き長らえればよいとしたら、完全な力と強さを取り戻してくれる何か、決して死ぬ事が無くなる何か。ポッター君、アリアネ。いまこの瞬間に、学校に何かが隠されているか知っていますか?」
フィレンツェさんの言葉に、私とハリーは顔を見合わせた。
「「賢者の石!」」
学校で大切に保管されて隠されているのは賢者の石。
私たちは目を見開かせながら、驚いていた。
「そうか、命の水だ!だけどいったい誰が……」
「力を取り戻すために長い間待っていたのが誰か、思い浮かばないですか?命にしがみついて、チャンスをうかがってきたのは誰か?」
フィレンツェさんの言葉に、私はどくんと心臓が跳ねる音が聞こえた気がした。
昔、アーサーおじさんが言っていた言葉を思い出す。
『例のあの人が死んだという人もいる。あの人に人間らしさのかけらでも残っていたらの話なんだけれどね』
ハリーを殺そうとした人、そうあの人だ。
私の頬に冷や汗が浮かび流れていくのが分かった。
「それじゃ……僕とアリアネが、いま見たのはヴォル……」
その時だった。
「ハリー、アリアネ。あなた達大丈夫?」
ハーマイオニーの声が聞こえて、声の方を振り向けば彼女とハグリッドがいた。
「僕とアリアネは大丈夫だよ。ハグリッド、ユニコーンが死んでる。森の奥の開けたところにいたよ」
「ここで別れましょう。君たちはもう安全だ」
ハグリッドはハリーの言葉を聞いてすぐに森の方へと駆けていき、フィレンツェさんは静かな声でそう言った。
私とハリーはフィレンツェの背中から滑るように降りる。
「幸運を祈りますよ、ハリー・ポッター。ケンタウルスでさえも惑星の読みを間違えたことがある。今回もそうなりますように」
そして私たちは、城へと戻るのだった。
グリフィンドールの談話室に戻れば、そこには眠っているロンがいた。
時折寝言を言っていたけれど揺すり起こす。
「あ、おかえり。どうだった、処罰は」
「良くないものだったわ」
私たちはロンに森で起きたことを話した。
ハリーは座っていられず、私もそわそわしながらと落ち着きなく話をする。