第4章 禁じられた森【賢者の石】
顔色が凄く悪く、私は目を見開かせて焦った。
彼はあの傷のある額を痛そうに抑えてもいて、私はパニックになりかける。
「ハリー!?どうしたの、ハリー!!」
その時、後ろの方から蹄の音が聞こえてくる。
そして早足で駆けてきたそれは、私たちの真上を飛び越えて影に向かって突進した。
すると影は音もなく消えていて、ハリーはその場で膝を着く。
「ハリー!」
すると、音の正体のケンタウルスが私たちを覆うように立っていた。
ロナンさんやベインさんとは違う、若くて明るい金髪に胴はプラチナブロンドに輝くケンタウルス。
「2人とも、怪我はないかい?」
「は、はい……ありがとうございます」
「ええ……、ありがとう……。あれは何だったの?」
ケンタウルスは私たちを引っ張りあげて立たせてくれる。
そしてハリーは少しだけ顔を歪めながらも、ケンタウルスに質問したけれど彼は答えない。
けはじっと私たちを見ていた。
美しい青の瞳は、宝石のような色で『綺麗』と思ってしまう。
「ポッター家の子と、フリート家の子だね?早くハグリッドのところに戻った方がいい。いま、森は安全じゃない……特に君、ポッター家の子はね。私に乗れるかな?その方が速いから」
「ふ、2人も乗れますか?」
「大丈夫だ。私の名はフィレンツェだ」
前足を曲げたフィレンツェさんは体を低くして、私たちが乗れるようにしてくれた。
そしてハリーと一緒にフィレンツェさんに乗った時、平地の反対側から疾走してくる蹄の音が聞こえてくる。
気の茂みを破る様に出てきたのは、ロナンさんとベインさんだった。
そして彼らは怒鳴った。
「フィレンツェ!何ということを……人間を背中に乗せるなど、恥ずかしくないのですか?君はただのロバなのか?」
「この子たちが誰だかわかってるのですか?ポッター家とフリート家の子です。一刻も早くこの森を離れる方がいい」
怒鳴るベインさんに、フィレンツェさんは静かに言った。
「君はこの子たちに何かを話したんですか?フィレンツェ、忘れてはいけない。我々は天に逆らわないと誓った。惑星の動きから、何が起こるか読み取ったはずじゃないかね」
「私はフィレンツェが最善と思うことをしんだと信じている」
ロナンさんは落ち着かない様子でそう言うが、ベインさんは怒鳴りながら声を荒げた。