第4章 禁じられた森【賢者の石】
そんな時、ハーマイオニーが叫ぶように言った。
「ハグリッド!見て、赤い火花よ。ネビルたちに何かあったんだわ!」
「3人ともここで待ってろ。この小道から外れるなよ。すぐ戻ってくるからな」
ハグリッドは私たちにそう言い聞かせると、下草の音を鳴らしながら行ってしまった。
頼りであるハグリッドがいなくなったせいか、急に恐怖心がむくむくと湧き上がっていく。
やがて、ハーマイオニーが心配そうに呟く。
「あの人たち、怪我したりしてないわよね?」
「マルフォイがどうなったってかまわないけど、ネビルに何かあったら……もともとネビルは僕たちのせいでここに来ることになってしまったんだから」
「……ネビル大丈夫かしら。マルフォイに何か言われたりしてなかったらいいんだけれど」
それから、何分経ったのか分からないけれどかなりの時間が過ぎていた頃。
何処からか、小枝の折れる音が聞こえてきて、ビクリと体を跳ねさせた。
「誰か、来てるわね……」
「ハグリッド達じゃない?」
やがて、バリバリという音が聞こえたのと同時にハグリッドが姿を見せた。
その後ろにはマルフォイとネビルにファングもいるけれど、何故かハグリッドは怒っていた。
聞けば、マルフォイが悪ふざけをしたらしい。
ネビルの後ろに回って掴みかかり、パニックになったネビルが火花を打ち上げたとのこと。
「なんてことをしているのよ、この馬鹿マルフォイ!!人に余計な心配をかけて!!」
「いったぁぁ!?」
ゴンッ!!と音を鳴らして、私はマルフォイの頭を拳を落とした。
鈍い音と私の怒号、そしてマルフォイの叫び声が静かな森に響いていく。
「おまえさんたち2人がバカ騒ぎしてくれたおかげで、もう捕まるのも捕まらんかもしれん。よーし、組み分けを変えよう……ネビル、俺と来るんだ。ハーマイオニーも。ハリーとアリアネはファングとこの愚かもんと一緒だ」
「え!?」
まさかのマルフォイと一緒にということで、私とハリーは顔を思いっきり顰めた。
するとハグリッドが私たちにこっそり耳打ちをしてくる。
「すまんな。おまえさんたちならこやつもそう簡単に脅せまい。とにかく仕事をやりおおせてしまわないとな。それにアリアネならマルフォイが馬鹿したら、拳で叱ってくれるだろうしな」
「……そういうことなら、分かった」
「すまんな、アリアネ、ハリー」