第4章 禁じられた森【賢者の石】
少し歩き出すと、道が二手に分かれている。
ハグリッドと私たちら左へ、ファングとドラコにネビルは右の道を歩き出した。
「暗いわね、森の中……」
「そうね……ちょっと怖いわ」
ハーマイオニーと手を繋ぎながら歩き出す。
そして道中無言で足元を見ながら歩いていれば、落ち葉の上や地面にシルバーブルーの血痕がみえた。
かなりの量であり、どれだけの怪我をしているんだろうと顔を顰めてしまう。
「狼男がユニコーンを殺すなんてことある得るの?」
「あいつらはそんなに速くない。ユニコーンを捕まえるのはたやすいことじゃない。強い魔力を持った生き物なんじゃよ。ユニコーンが怪我したなんてこたぁ、俺は今まで聞いたことがない」
「じゃあ、何に傷つけられたのかしら……」
そう思いながら歩き出せば、水の流れる音が聞こえてくる。
どうやら近くに川があるみたいと思って、曲がりくねった小道を歩いていればユニコーンの血がまた落ちていた。
「そっちは大丈夫か?アリアネ、ハーマイオニー」
「え、ええ……」
「心配するな。このひどい怪我じゃそんなに遠くまで行けないはずだ。もうすぐ……その木の陰に隠れろ!」
突然ハグリッドは私とハリーとハーマイオニーを引っつかむと、樫の巨木の裏に放り込んだ。
驚きながらも、なんとか立ち上がってから様子を見ると、ハグリッドは矢を引き出して弓につがえて持ち構えている。
いつでも矢が放てる状態。
その様子に、何かがいるんだと気づいて耳を澄ませた。
何かが近くの枯葉の上を、スルスル滑っている音が聞こえてくる。
マントを引きずっているような、そんな音が聞こえていた。
(誰かいるのかしら……?人、だといいんだけれど)
だけどやがて、その音が聞こえなくなった。
「思った通りだ。ここにいるべきでない何者かだ」
「狼男?」
「いーや、狼男じゃないしユニコーンでもない。よーし、俺について来い。気をつけてな」
ハーマイオニーは怖いのかギュッと私の手を握っていて、私も握り返す。
ゆっくりと私たちは聞き耳を立てながら歩き出していれば、突然前方の開けた場所で何がが動いた。
「そこにいるのは誰だ?姿を現せ……こっちには武器があるぞ!」
ハグリッドが声を張り上げると、何者かが姿を現した。
人のようだけどそうじゃない、下半身は馬のようなそんな不思議な姿。