第4章 禁じられた森【賢者の石】
「森だって?そんなところ夜行けないよ……それこそいろんなのがいるんだろう……狼男だとか、そう聞いてるけど」
マルフォイはいつもと違う、情けない声を出していた。
「そんなこもはいまさら言っても仕方がないねぇ。狼男のことは、問題を起こす前に考えとくべきだったねぇ?」
本当にこの人は意地が悪いし、嫌いだ。
そう思っていれば、ハグリッドがファングを連れて暗闇の中から現れた。
大きな石弓を持っていて、肩には矢筒も背負っている。
「もう時間だ。俺はもう30分くらい待ってたぞ。ハリー、アリアネ、ハーマイオニー、大丈夫か?」
「こいつらは罰を受けにきたんだ。あんまり仲良くするわけにはいきませんよねぇ、ハグリッド」
「それで遅くなったと?そう言うのか?説教を垂れてたんだろう。え?説教するのはおまえの役目じゃなかろう。おまえの役目はもう終わりだ。ここからは俺が引き受ける」
「夜明けに戻ってくるよ。こいつらの体の残ってる部分だけ引き取りにくるさ」
嫌味をたっぷりと込めた言葉を言いながら、フィルチは城へと戻って行った。
何があれば、あんなにも意地の悪い人間になれるんだろうと不思議に思ってしまう。
「何があったら、あんなにも意地の悪い人間になれるのかしら」
「育ち方の問題じゃないのかな?」
「きっとそうね」
なんて離していれば、マルフォイはハグリッドに弱々しい声で言う。
「僕は森には行かない」
震えている声に、怖がっているのがすぐに分かる。
そんなマルフォイにいい気味だわと小さく笑った。
「ホグワーツに残りたいなら行かねばならん。悪いことをしたんじゃから、その償いをせにゃならん」
「でも、森に行くのは召使いのすることだよ。生徒にさせることじゃない。同じ文章を何百回も書き取りするとか、そういう罰だと思っていた。もし僕がこんなことをするってパパが知ったら、きっと……」
「きっと、これがホグワーツの流儀だってそつ言いきかせるだろうよ」
ハグリッドは唸るように言った。
「書き取りだって?へっ!それがなんの役に立つ?役に立つことをしろ、さもなきゃ退学しろ。おまえの父さんが、おまえが追い出された方がましだって言うんなら、さっさと城に戻って荷物をまとめろ!さあ行け!」
だけどマルフォイは動かない。
ハグリッドをただ静かに睨んでいるけれど、ハグリッドは気にしていなかった。