第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
ロンは深く頷く。
この百味ビーンズ、美味しいものもあるが中にはとんでもない味もある当たりとハズレの差が凄いお菓子。
「百味って、ほんとになんでもありなんだよ。そりゃ、普通のもあるよ。チョコ味、ハッカ味、マーマレード味なんか」
「でもね、中にはレバー味とか臓物味とかもあるんだよ」
「そうそう。前にジョージが言ってたけど、鼻くそ味に違いないってのに当たったことがあるって」
話を聞いた時には、私とロンとジニーは凄く顔を顰めた。
出来れば当たりたくない味であり、私は百味ビーンズから一粒のビーンズを取り出す。
赤色のビーンズは何味だろうかとまじまじと見つめた。
横にいたロンも百味ビーンズの箱に手を突っ込み、一粒だけを手にする。
緑色のビーンズをよーく見つめてから、一口だけ齧った。
「ウエー、ほらね?芽キャベツだよ」
「あ、私はチェリー味だわ」
「僕は……これは、トースト味だね」
どうやらハズレを引いたのはロンだけのようだ。
その後、私はパンプキン味にほうれん草やレバー味などを食べたけど、まあまあマシだった。
暫く三人で百味ビーンズを楽しんでいた時だ。
コンパートメントをノックされて、どうしたのだろうと思えば泣きべその男の子が入ってきた。
「ごめんね。僕のヒキガエル見かけなかった?」
「ヒキガエル?ごめんなさい、見てないわ。そのヒキガエルがどうかしたの?」
「いなくなっちゃった。僕から逃げてばっかりいるんだ!」
どうやらペットのヒキガエルが逃げたみたい。
そんな彼に、私とハリーは励ましの言葉を送る。
「きっと出てくるよ」
「うん。もし見かけたら……」
「声をかけるわね。見つかるといいわね、ヒキガエル」
泣きべその男の子は肩を下ろしながら出ていってしまった。
「どうしてそんなこと気にするのかなあ。僕がヒキガエルなんて持ってたら、なるべく早くなくしちゃいたいけどな。もっとも、僕だってスキャバーズを持ってきたんだから人のことは言えないけどね」
「……スキャバーズって、よく寝てるわよね」
「死んだって、きっと見分けがつかないよ」
スキャバーズは長生きしているねずみ。
ずっとウィーズリー家にいて、でも私のふくろうのジークはスキャバーズが気に入らないのか、よく嘴で突いては追いかけている。
普段はねずみなんて追いかけないのにスキャバーズだけなので不思議。