第4章 禁じられた森【賢者の石】
ノーバートが出発した。
だんだんと4人とノーバートの姿が遠くなり、なんだか私たちは心が軽くなるのを感じる。
「戻りましょう」
「そうね」
「うん、戻ろう」
螺旋階段を滑るように降りていき、周りを見渡す。
マルフォイとマクゴナガル先生の姿はなく、マルフォイは罰則を受けているはず。
それが嬉しくてたまらないと思っていた時であった。
廊下に足を踏み入れたとたん、フィルチの顔が暗闇の中から現れたのである。
「さて、さて、さて。これは困ったことになりましたねえ」
そこで私は思い出した。
透明マントを、塔の上に忘れてきたことを。
「ハリー、マント……忘れてきてるわ」
「……そうだね」
最悪の事態になってしまった。
私たちはフィルチに連れられて、マクゴナガル先生がいる研究室に来た。
私たちは何も喋らずに居たけれど、ハーマイオニーは震えている。
(どうしよう……なんて言い訳しよう。こんな時にどうすればいいか、フレッドとジョージに聞けば良かったわ)
なんて考えながら、空中に視線をさ迷わせる。
でもどんな理由があっても、立ち入り禁止である天文台の塔に立ち入ったことをマクゴナガル先生は許してくれないはず。
(本当にどうしましょう……どうしよう)
なんて思っていれば、マクゴナガル先生は何故かネビルを引き連れてきたのである。
「ハリー!」
「……ネビル」
「探してたんだよ。注意しろって教えてあげようと思って。マルフォイが君を捕まえるって言ってたんだ。あいつ言ってたんだ、君がドラゴ……」
慌てて、ハリーと私は頭を横に振ってからネビルを黙らせたけれどもう遅い。
だってマクゴナガル先生にばっちりと見られてしまったのだから。
「まさか、皆さんがこんなことをするとは、まったく信じられません。Mr.フィルチは、あなたたちが天文台の塔にいたと言っています。明け方の1時にですよ。どういうことなんですか?」
なんて説明をするべきなのだろうか。
流石に違法であるドラゴンを運ぶために、天文台の塔に居たとは正直には言えない。
だからといって、上手い言い訳も思いつかずに私たちは黙りとしてしまった。
「何があったか私にはよくわかっています。べつに天才でなくとも察しはつきます。ドラゴンなんて嘘っぱちでマルフォイに1杯食わせてベッドから誘き出し、問題を起こさせようとしたんでしょう」