第4章 禁じられた森【賢者の石】
確かに、ドラゴンの赤ちゃんはまだ小さい。
こんな小さな時に外に出してしまえば、間違いなく死んでしまうだろう。
だけど、ハグリッドをこのままにしておく事も出来ない。
ハグリッドはドラゴンの赤ちゃんの世話ばかりしているせいで、家畜の世話も仕事もろくにしていないのだ。
小屋にはブランデーの空き瓶と、鶏の羽が落ちている。
「この子をノーバートと呼ぶことにしたんだ」
「ノーバート……」
「もう俺がはっきりわかるらしいよ。見ててごらん。ノーバートや、ノーバート!ママちゃんはどこ?」
「狂ってるぜ」
「こら、ロン!」
ハグリッドはすっかり、ノーバートのママになってしまっている。
「ハグリッド、2週間としたら、ノーバートはこの家ぐらいに大きくなるんだよ。マルフォイがいつダンブルドアに言いつけるかわからないよ」
「そ、そりゃ……俺もずっと飼っておけんぐらいのことはわかっとる。だけどほつまぽり出すなんてことはできん。どうしてもできん」
「……ハグリッド」
唇を噛み締めるハグリッドが、あまりにも可哀想。
すると突然ハリーがロンに叫んだ。
「チャーリー!」
「……ハリー、ロンはチャーリーじゃないわよ?」
「君も、狂っちゃったのかい。僕はロンだよ。わかるかい?」
「違うよ。チャーリーにノーバートを預ければいい。面倒見て、自然に帰してくれるよ」
「そうだわ!そうよ、チャーリーに預ければいいのよ!チャーリーはドラゴンの扱いに慣れてるわ!」
「名案!ハグリッド、どうだい?」
私とロンも、ハリーの言葉に賛成した。
チャーリーなら、ノーバートの面倒もちゃんとみてくれるだろうから。
そしてハグリッドを説得してから、彼はとうとうチャーリーにノーバートを頼みたいとふくろう便を送ってくれた。
その次の週。
特に何も起こらず、平穏とは言えないけれど静かな時間が過ぎていた。
そして水曜日の夜、皆が寝静まっている中で私とハリーにロンとハーマイオニーは談話室にいた。
「もう0時ね……」
時計が0時を告げている。
すると肖像画の扉がゆっくりと開き、ロンがどこからともなく現れた。
ハリーの透明マントを被っていたのである。
「おかえりなさい、ロン」
彼は透明マントを被って、ノーバートの餌をやるのを手伝っていたのである。
「噛まれちゃったよ」