第4章 禁じられた森【賢者の石】
ハグリッドはそわそわとしながら、私の方へと視線を向けていた。
「このことは、黙っておいてくれんか?」
さっき私が怒ったからなのだろう。
私が卵のことを言うのではと、ハグリッドは不安みたいで私はまた何度目か分からないため息をつく。
「言わないわ、ハグリッド。貴方には沢山、お世話になっているものね。でも、火事にならないように気を付けてちょうだいね」
「おう!ありがとうな、アリアネ!」
結局、私たちはまた心配を抱えることになってしまった。
とりあえず、私たちはハグリッドが小屋で卵を買っているのことを黙っていることにしたけれど、もしバレたらどうしようと不安ではある。
「あーあ、平穏な生活って、どんなものかなあ」
「平穏って、何かしら……」
なんて言いながらも、私たちは出された課題をこなして行く。
そしてハーマイオニーは、ロンとハリーにそして私の分の学習予定表まで作ったので、2人は気が狂いそうだと言っていた。
そんなある日の朝。
ハリーのフクロウであるヘドウィグが、一通の手紙をハリーに届けた。
差出人はハグリッドで、たった1行の手紙。
『いよいよ孵るぞ』
手紙を読んだロンが、薬草学の授業をサボってすぐに小屋に行こうとしたけれど私とハーマイオニーが止めた。
「ダメよ、ロン」
「サボっちゃ駄目よ」
「だって、アリアネ、ハーマイオニー。ドラゴンの孵るところなんて、一生に何度も見られると思うかい?」
「……見られないとは思うけれど」
「ちょっとアリアネ、揺るがないで。ロン、私たちは授業があるでしょ。さぼったらまた面倒なことになるわよ。でも、ハグリッドがしていることがバレたら、私たちの面倒とは比べ物にならないぐらい、あの人ひどく困ることななるわ……」
なんて話している時だった。
ハリーが小声で叫ぶ。
「黙って!」
どうしたのだろうと思えば、数メートル先にマルフォイの姿があった。
立ち止まってじっと聞き耳を立てていたようで、どこまで聞かれたんだろうと私とハリーは少し青ざめる。
だけどマルフォイは何も言わずに立ち去った。
その後、ロンとハーマイオニーはずっと薬草学の教室に行くまで言い争っていた。
だけどハーマイオニーは折れたのだった。
「ハーマイオニーが珍しく折れたわね……」
「もう、仕方ないわ。見に行きましょう……」