第4章 禁じられた森【賢者の石】
「ねえ、ハグリッド。私たちに言いたくないだけでしょう。でも、絶対に知ってるのよね。だって、ここで起きてることで貴方の知らないことなんかないんですもの」
おだてるハーマイオニーに、ハグリッドの髭がぴくりと動くのが見えた。
そして髭の中でにっこりと笑っているのが見える。
「私たち、石が盗まれないように、誰が、どうやっけ守りを固めたのかなあって考えてるだけなのよ。ダンブルドアが信頼して助けを借りるのは誰かしらね。ハグリッド以外に」
「頼りになるハグリッド以外に、ダンブルドアは誰を頼ったのか知りたいだけなのよ。別に悪さをしようと思っているわけじゃないのよ?ハグリッドは凄く頼りになる人だから、きっとダンブルドアも頼ってるのでしょうね……」
ハーマイオニーと共に、追い討ちをかける。
ハグリッドは凄くダンブルドアを尊敬しているから、こう言えば気分を良くして何かを言ってくれるかもしれない。
するとハグリッドは胸をそらし、ロンとハリーは私たちに『よくやった』と目配せしてきた。
「まあ、それくらいなら言ってもかまわんじゃろう……俺からフラッフィーを借りて……何人かの先生が魔法の罠をかけて……スプラウト先生……フリットウィック先生……マクゴナガル先生」
ハグリッドは指を折りながら、名前を言っていく。
「それからクィレル先生、もちろんダンブルドア先生もちょっと細工してたし、待てよ、誰か忘れておるな。そうそう、スネイプ先生」
「スネイプだって?」
「セブも、関わっていたの……!?」
まさかの名前に、私たちは目を見開かせた。
石を盗もうとしているのではないか、と話していたセブの名前がまさか出てくるなんて思っていなかったから。
「ああ、そうだ。まだあのことにこだわっておるのか?スネイプは石を守る方の手助けをしたんだ。盗もうとするはずがない」
でもだ。
セブが守る側にいたのなら、彼は他の先生たちがどんな風に守ろうとしたのか簡単に分かるはず。
全部分かっていたはずなんだ……クィレルの呪文とフラッフィーを出し抜く方法以外なら全部。
「ハグリッドだけがフラッフィーをおとなしくさせれるんだよね?誰にも教えたりしないよね?たとえ先生にだって」
「俺とダンブルドア先生以外は誰一人として知らん」
ハグリッドは凄く得意げに言っていて、私たちはそれに少し安堵していた。