第4章 禁じられた森【賢者の石】
「……ううん、なんでもないわ」
クィレルは意外にも粘っていた。
あの森の件から、何週間も経っていたけれどクィレルはますます青白くなってやつれて見えていたけれど口を割った気配はない。
「クィレル、意外と粘っているのね」
「そうみたいね。やつれてはきてるけれど……」
そして私たちは、4階の廊下を通る度に扉に耳をくっつけてフラッフィーの唸り声が聞こえるかどうかを確かめた。
どうやらセブはまだ賢者の石を手に入れることができていないようで、相変わらず不機嫌そうにしている。
それが私たちとっては石が取られていない証拠になった。
あれから、ハリーはクィレルに会う度に笑顔を向けているしロンはクィレルを揶揄う子達を窘めている。
私はクィレルの授業をつまらなさそうにしないようにしていた。
「ハーマイオニー、貴方、すごい印をつけているわね」
ハーマイオニーはというと、学習予定表を作ってはノートに印をつけていた。
最初はロンとハリーはそんな彼女を気にしていなかったけれど、ハーマイオニーが同じようにするよう私たちに言い出してからゲンナリとしている。
「ハーマイオニー、試験はまだずーっと先だよ」
「10週間先でしょ。ずっーと先じゃないわ。ニコラス・フラメルの時間にしたらほんの1秒でしょう。アリアネ、ここも印をつけた方がいいわ。役に立つはず」
「ありがとう、ハーマイオニー」
「僕たち、600歳じゃないんだぜ」
ロンはげんなりとしながら言う。
「それに、何のために復習するんだよ。君はもう、全部知ってるじゃないか」
「何のためですって?気は確か?2年生に進級するには試験をパスしなけりゃいけないのよ。大切な試験なのに、私としたことが……もう一月前から勉強を始めるべきだったわ」
「まあ、確かに復習するのは必要ね。特にロン、ハリー、貴方たちは必要ね。お願いだから、私とハーマイオニーの後輩にならないでちょうだい」
「アリアネまで……!!ハーマイオニーみたいな事言わないでくれよ!」
「後輩になんかならないよ!」
それから、先生方は山のような課題を出してくれた。
復活祭りではあるけれど、課題があるのでハリーとロンは『楽しくない』と呟いている。
私とハーマイオニーはというと、ドラゴンの血の12種類の利用法を暗唱したり、杖の振り方を練習したり復習したりとしていた。