第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
ロンと私は、モリーおばさんが作ってくれたサンドイッチの包み紙を開ける。
中には四切れのサンドイッチがあり、隣でロンが一枚めくって顔を歪ませた。
「ママったら僕がコンビーフは嫌いだって言っているのに、いっつも忘れちゃうんだから」
「文句言わないの。作ってもらえるだけ、有難いのよ」
というか、それモリーおばさんがわざと入れてたなあ。
朝、私はモリーおばさんが【ロニー坊やの好き嫌いを無くさないと】と言いながらコンビーフ入れていたのを見ていた。
「アリアネは好き嫌いないよなあ」
「嫌いなのはあるわ。苦いの嫌いよ」
「流石、甘党。甘いの反対の苦いは嫌いか」
私はサンドイッチを齧りながら、かぼちゃパイはいつ食べようかと悩んでいる時だった。
ハリーがロンへとかぼちゃパイを差し出しす。
「僕のと替えようよ。これ、食べて……」
「でも、これ、パサパサでおいしくないよ」
「ロン……」
「あ、えっと、ママは時間がないんだ。五人も子供いるんだもの」
ロンの言葉に、私が横でじろりと睨むと彼は慌てて言葉を付け加える。
だけどハリーはそれでもロンにかぼちゃパイを差し出した。
「いいから、パイ食べてよ」
「……ありがとう」
「ハリーは優しいのね。でも、ロンを甘やかさなくてもいいのよ。好き嫌い無くすために、おばさんがコーンビーフ入れてたもの」
「わざとなの!?」
私たちは買ったお菓子を分け合ったりしながら、車内での時間を楽しんでいた。
するとハリーは蛙チョコレートを持って、怪訝そうにそれを眺めている。
「これなんだい?まさか、本物のカエルじゃないよね?」
「本物じゃないわよ」
「まさか。でも、カードを見てごらん。僕、アグリッパがないんだ」
「なんだって?」
カエルチョコレートを知らないハリーは、ロンの言葉に眉を寄せていた。
「そうか、君、知らないよね……チョコを買うと、中にカードが入ってるんだ?ほら、みんなが集めるやつさ。有名な魔法使いとか魔女とかの写真だよ。僕、五百枚ぐらい持ってるけど、アグリッパとプトレマイオスがまだないんだ。ちなみに、アリアネはダンブルドア以外は持ってる」
「ハリー、面白いから開けてみて」
そう言いながら、私も自分で買ったカエルチョコレートを開けていく。
すると中から一枚のカードが出てきて、それを手にしてみる。