第4章 禁じられた森【賢者の石】
ロンは悲鳴に近い声をあげながら、私たちにそう言った。
本当に大丈夫なのだろうかと思いながらも、私たちは袖の中に杖を隠す。
「見て、ハーマイオニー、ロン。ダンブルドアまで見に来てるわ」
「本当だ」
「ダンブルドアがいる前で、スネイプは不平な事をするかしら」
「するだろう、アイツは」
なんて話ながらダンブルドアを見る。
彼がいるなら、セブは下手にハリーに対して手を出そうとはしないはず。
だけど不安が消え去ることはない。
そして選手たちがグラウンドに入場する。
すると審判であるセブが、なんとも言えない表情を浮かべていた。
腹を立てているような、そんな表情。
「見ろよ。スネイプがあんなに意地悪な顔したの、みたことない」
「どんな心境で、あんな表情なのかしら……」
ロンの言葉を聞きながら、私はセブとハリーを交互に見ていた。
「さあ、プレイ・ボールだ。アイタッ!」
隣で痛そうな声が聞こえる。
誰かがロンの頭をこづいたようで、振り返ればそこにはマルフォイがいた。
「ああ、ごめん。ウィーズリー、気づかなかったよ」
「……マルフォイ」
「この試合、ポッターはどのぐらい箒に乗っていられるかな?誰か、賭けるかち?ウィーズリー、どうだい?」
「何、馬鹿なことを言ってるのかしら。貴方なら10秒も乗れないでしょうに」
「な、なんだと!?」
「大口叩くぐらいなら、ハリーみたいに1年生でクィディッチの選手に選ばれなさい、マルフォイ」
なんて言いながら、私はグラウンドへと視線を向ける。
ちょうど、ジョージがセブの方にブラッジャーを打ったという理由でハッフルパフにペナルティー・シュートを与えていた。
そしてハリーはというと、スニッチを探しながら鷹のよつにぐるぐると高いところを旋回している。
あの様子からして、箒に何かされているとかはないみたいで安心した。
「グリフィンドールの選手がどういうふうに選ばれたか知ってるかい?」
私とロンとハーマイオニーはマルフォイの言葉に返事をしない。
そしてまた、セブが理由もなくハッフルパフにペナルティー・シュートを与えている。
「気の毒な人が選ばれてるんだよ。ポッターは両親がいないし、ウィーズリー一家はお金ないし……ネビル・ロングボトム、君もチームに入るべきだね。脳みそがないから」
ネビルが顔を真っ赤にしていた。