第4章 禁じられた森【賢者の石】
あれから数日。
ハリーは最初は強がっているように見えたけれど、試合が近づくにつれて不安そうにしていた。
不安の原因はやっぱり、審判がセブだからかもしれない。
「なんだか、スネイプによく出くわしている気がするんだ」
談話室にて、ハリーが小声で囁く。
ロンとハーマイオニーは離れた所でチェスをしていて、ハーマイオニーがまた負け続けている。
そんな時にハリーは嫌そうに顔を顰めて、私にそう囁いた。
「そんなに?」
「なんだか、一人になると捕まえようと跡をつけてるんじゃないかってぐらい……」
「気の所為とか……」
「そうかもしれないけれど、そう思う程に出くわしているんだよ。アリアネ、なんでだと思う?」
凄く参っているようにハリーは項垂れていた。
確かに、ハリーが一人でいる所を見つけるとセブがいたりする事はよく見る。
しかも最近のセブは、一段とハリーに辛くあたっていた。
何を考えて、ハリーのところに行っているんだろう。
そんなにもハリーの事が憎たらしいのかしらと、私も顔を顰めてしまった。
「はああ……」
「ハリー……、あまり気にしない方がいいわ。あまり気にしていたら、気に病むわ」
「そうだけど、そうなんだけど……」
そんなハリーを見ながら、私は小さく息を吐いて暖炉の火を見つめた。
次の日の昼下がり。
いよいよクィディッチの試合の日となり、私とロンとハーマイオニーは『幸運を祈る』と更衣室の外でハリーに言葉をかけた。
「ハリー、不安そうだったわね」
「ええ。これも全て、スネイプのせいよ」
私たちはハリーと別れたあと、スタンドでネビルの隣に腰掛けた。
ネビルはというと、私たちは深刻な表情をして杖を持っているものだから困惑している。
「私とアリアネは大丈夫として、ロンが呪文を忘れないかどうかが問題だわ」
何故、杖を持っているか。
それは、私たちはハリーに内緒で密かに『足縛り』の呪文を練習していて、セブが少しでもハリーを傷付ける素振りを見せた時に『足縛り』の呪文をかける為。
「いいこと、忘れちゃだめよ。ロコモーター モルティスよ」
「わかってるから。ガミガミ言うなよ」
「貴方が忘れそうだから、ハーマイオニーに言われてるんでしょう、ロン!忘れないように心の中で呟いていなさい」
「分かったから!アリアネまでガミガミ言わないでくれよ……!」