第4章 禁じられた森【賢者の石】
「何故、そのような質問をしてくるのかね?」
「興味本位。本で、賢者の石について読んだから……」
嘘をつきながら、私は少しだけ視線を逸らす。
彼に嘘をついたことに、罪悪感があるせいかちゃんと目を見れなかった。
「……ふん。賢者の石か……別に要らん」
「え?」
「まあ、興味はあるが欲しいとは思わんかもしれん」
「……そう、なんだ」
「では、吾輩からも一つ質問をする」
セブが一歩、足を踏み出す。
そして私に近寄ると顔を近づけてきて、彼の黒の瞳が私を映し出した。
「お前は、吾輩が……吾輩がもし、お前の……」
だが、セブは言葉を途切らせる。
どうしたのだろうと瞬きをしながら、彼からの言葉を待つけれど何も言わない。
「……やはり、なんでもない」
「な、なんなのよ……!もう!」
セブは一体何を言おうとしたのだろう。
そう思いながら、ため息を吐いてからもう少しで夕食の時間帯であることに気が付いた。
遅ければハーマイオニーが探しにくるか、心配してしまうかもしれない。
「私、もう行くわ……」
「そうか」
「……ねえ、セブ。最後だけ聞いてもいい?」
「よかろう」
小さくセブが頷いた。
「ハリーを、殺そうなんてしてないわよね。私が知っている貴方は、人を嫌っているからって直ぐに殺そうなんてする人には見えないもの」
信じたかった、やっぱり。
セブはハリーが嫌いだからといって、その命を奪おうとするまでの人じゃないって。
だけど彼はやっぱり、ハッキリとは言ってくれなかった。
「さあ、どうだろうな」
ハッキリと言ってくれない彼に、私は頭に血が昇った。
「なんでハッキリと言ってくれないのよ!言ってよ、してないって!!私は、貴方があんなことしてないって信じたいのに!!」
「お前が信じたいから、なんだ……?世の中全てが、お前が信じる通りになど行かないぞ」
「……もういいわ。やっぱりセブなんて大っ嫌い!!」
また子供みたいに大声で怒鳴り、私はその場から走り出していた。
次は涙は出さないようにと我慢して唇を噛み締めて、グリフィンドール寮に戻る。
だけどそこにはハリーたちの姿はなく、その事に少しだけほっとした。
酷い顔を見せなくて済んだから。
泣きそうな、怒った顔を見せれば三人とも心配してしまうかもしれない。
私は、感情を落ち着かせてから三人を探すのであった。