第4章 禁じられた森【賢者の石】
「どうかしたの?アリアネ、昨日からずっと眉間に皺を寄せているわよ。狼人間に何か疑問でもあるの?」
「……ちょっとね」
私は言葉を濁してからハーマイオニーに笑いかけた。
そして本当にこんな処置方法で良いのかしら、役に立つのかしらと思いながら羽根ペンを動かしていく。
後ろの席ではハリーとロンが『賢者の石』を持っていたらどうするかという話をしている。
そして、ロンがクィディッチ・チームを買うと言った途端、ハリーがある事を言った。
「僕、試合に出るよ」
「ハリー、貴方出るつもりなの?」
思わず、後ろに顔を向けてそう訊ねた。
「出なかったら、スリザリンの連中はスネイプが怖くて僕が試合に出なかったと思うだろう。目にもの見せてやる……僕たちが勝って、連中の顔から笑いを拭い去ってやる」
「グランドに落ちたあなたを、私たちが拭い去るようなハメにならなければね」
ハーマイオニーの言葉に、私は苦笑を浮かべた。
その日の放課後。
私は一人で中庭を歩きながら人気のない所を歩いていく。
そしてとある人を探しながら、ウロウロと視線をさ迷わせていた。
居ないかしらと思いながら息を吐く。
そして、諦めて帰ろうとかなと思いながら歩き続けていた時だった。
「Ms.フリート。一人で何をしているのかね?何時もの三人とはいないようだが」
「……セブ」
後ろから声が聞こえ、振り向けばそこには私が探していたセブがいた。
相変わらずの無愛想な表情と、眉間に皺を寄せている姿に苦笑を浮かべてしまう。
「貴方に、話しかけられるなんて思わなったわ。私、貴方に大っ嫌いなんて言ったから」
「子供の言葉を真に受け、話しかけないという子供じみた事はしない」
「なんか、嫌味に聞こえてくるわね……」
「そういう君は、吾輩と話してもいいのかね?大っ嫌いな吾輩と」
「話しかけてきたの、セブじゃない……」
ムッとしながら私はセブの事を見つめた。
足は引きずってはいないけれど、怪我は完全になおっているのだろうか。
本当に賢者の石を求めるだけで、危険なことを犯したのだろうかと思いながら。
「そんなに見つめられると、穴が空いてしまいそうですな」
セブはそう言いながら、少しだけ鼻を鳴らす。
「ねえ、セブ……。セブは、賢者の石があれば欲しい?不老不死になりたい?」
私の問いに、セブが顔を険しくした。