第4章 禁じられた森【賢者の石】
『賢者の石』については何世紀にもわたって多くの報告がなされてきたが、現存する唯一の石は著名な錬金術師であり、オペラ愛好家であるニコラス・フラメル氏が所有している。フラメル氏は昨年665歳の誕生日を迎え、デボン州でペレネレ夫人(658歳)と静かに暮らしている。
つまり、ニコラス・フラメルは賢者の石の創造者であるすごい人という訳かしら。
そう私は首を傾げながら読み終えて、ハーマイオニーへと視線を投げかけた。
「ねっ?あの犬はフラメルの『賢者の石』を守っているに違いないわ!フラメルがダンブルドアに保管してくれって頼んだのよ。だって二人は友達だし、フラメルは誰かが狙ってるのを知ってたのね。だからグリンゴッツから石を移して欲しかったんだわ!」
「金を作る石、決して死なないようにする石!スネイプが狙うのも無理ないよ。誰だって欲しいもの」
「それに『魔法界における最近の進歩に関する研究』に載ってなかったわけだ。だって665歳じゃ厳密には最近と言えないよな」
私は三人の会話を聞きながら、疑問に思った。
セブのような人が、不老不死を求めるために三頭犬に近づいたのだろうかと。
そんな事しそうな人じゃないはずと眉間に皺を寄せていく。
「どうしたの、アリアネ。眉間に皺を寄せてるけど」
「……セブが、不老不死を求めるだけに自分の身を危険に犯すとは思えなくて。冷静な人だから」
「アリアネ、君はスネイプと小さい頃からの知人だから信じたくないかもしれないけれど、アイツはやると思うよ」
「そうだよ。だって、ハリーを嫌っているからっていう理由だけでクィディッチの試合の時に呪文をかけて妨害しようとしたんだよ」
ハリーとロンは不機嫌そうに言う。
だけど、どうしても私はセブが賢者の石を求めるだけで自分の身を危険に晒すとは思えなかった。
それに、あの時は頭に血が上っていたとはいえ本当にハリーを嫌っているだけで殺そうとしたのかしらと、思い直せば疑問ばかりだった。
(セブ……貴方は、本当は何をしたいの……)
だけど、子供の頭ではいくら考えても答えが見つからなかった……。
翌朝、私は悩みながらも『闇の魔術に対する防衛術』の授業を受けていた。
内容は狼人間に噛まれた傷の様々な処置方法についてを、ノートにとること。
「……狼人間」
ボソリと私は小さく呟いた。